第26章 【重課金カップル】
「うん、まぁ…倫也さん優しいし。
ゲームするときだって、
廉みたいにムキになんないし!」
「ふんっ…悪かったな」
「それに、、」
「それに?」
「人狼ゲームみたいな
意地悪なゲームも嫌いだって言ってた!」
俺も俺で機嫌悪い自覚あるけど、
コイツも中々やん。腹立つ…!
「……なんなん。喧嘩しにきたん?
なら帰って。俺することあるし…」
「することって…何?探し物?」
「は?!んなわけないやん!!」
…何で?
何で、急に、、そんなこと言うん?
……え?
俺、失くしたって言うてないよな…?
海人にバレんように探しとったし、
そんなわけ、、
焦って思考を巡らせとったら
突然、海人に左腕を掴まれて。
荒々しく持ち上げた手首を見せつけられた
俺の心臓が、早鐘を打ち始める。
「……廉、最近ずっと、してない」
「たっ…たまたま、服に合わんかっただけやし」
口から飛び出しそうなくらいに脈打つ心臓を
ひた隠してなんとか、答える。
「……ふーん?じゃあ、出して。今すぐ。」
「それはできん!けど、ちゃんとあるから!!」
海人から捕まれた腕を振り下ろして
勢いでねじ伏せようとしたけど
海人の顔は見れんくて…
「へぇー…廉って、宿題忘れたとき
『やったけど忘れました』って言うタイプなんだ?」
いつになく乱暴にソファに座る海人を見て
やっぱり、怒っとるよな…と気が重くなる。
「ちっ、違うし…」
「ねぇ、、ちゃんと、オレの顔見て言ってよ。
もう一回だけ訊くよ…?失くしちゃったの?」
今日、オレがここに来て初めて
ようやくちゃんと、目を合わせた廉。
その薄茶色の瞳にじわじわと涙が溜まって
輪郭がボヤけていく…
それと同時にオレの胸にボスンと収まってきて…
「……失くした。ほんまにごめん、、。」
そう肩を震わせる廉の背中を撫でる。
「ふふっ…よく、言えました」
「えっ…おっ、怒らん、の?」
「え?怒ってほしかったの?笑
まぁ、誤魔化そうとされたのは悲しかったけど、
オレ、失くし物くらいじゃ怒んないよ。
だって…わざと失くしたわけじゃないでしょ?」
「そっ、それはそうやけど…!」
「別に、廉に何かあったわけじゃないんだから…
それ以外はオレにとってはちっぽけなことだもん」