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【KP】BL

第25章 【想い人、憑依型につき】






笑いながら地べたにドカッと片膝を立てて座って
キセルを口元に戻した海人は瞳を閉じて
もたげた頭を気持ちよさそうに揺らしだした。


これは何かを想像するときの海人のクセで
何度もこの海人を俺は間近で見てきとるし
俺からしたら毎度おなじみの慣れっこ海人。


揺らしていた首を止め、自分の中のスイッチング
なのか数回深呼吸をしたあと


バサバサのまつ毛を重たそうにゆっくりと持ち上げ
色気を纏った視線を寄越した海人に息をのむ。


役に合わせて伸ばされた髪から覗く海人の
熱をもったような視線に堪えられんくて、
必要以上にホンを近づけた。


おさまれ、おさまれ、、
と気持ちとは裏腹に速まる心臓に念じながら。


「…ねぇ、れぇん」

「なっ…なん?!」

「好きに過ごしていいとは言ったけどさぁ…
 そんな体操座りをぎゅっと縮こめたみたいな恰好は
 さすがに疲れない?苦笑 それで覚えられんの?」


俺の気も知らんとあはは!と楽しそうに笑う海人が
憎たらしいのに、可愛いくて―――


「余裕よ!なんやったらいっつもこれやし!」

「そんな廉見たことねぇわ!w 絶対、嘘じゃん」


……誰かが言うとったな。
可愛いと思ったら負けなんやって。


結局、何でも許せちゃうって。


それで言うたら俺らは全員、
海人に負けとったんかもしらんけど。


紫耀とかじんなんか、
俺の比やないくらいのやつやったし。


「あー…そういやその映画さ、
 長澤の姐さんも一緒にでるんやろ?」

「そうだけど、長澤の姐さんって…苦笑」

「海人ずるいよなーー!俺の方が絶対好きやのに
 俺の憧れの礼ちゃんと共演するとか!」


一向に収まる気配のない心臓に“おさまれ”と
念を送るより、喋っとる方がまだ気がまぎれる
気がして適当に話題を見繕う。


「礼ちゃんって…苦笑 でも廉、そのドラマずっと
 好きだよね?女子高生のきゅん狙いみたいな
 結構ベタな乙女チック路線が好きな廉ちゃん
 めっちゃ可愛いんだけどw」

「…はぁ?何よそれ!
 まるで俺が万年思春期みたいやん!」


えー!違ったっけ?
なんて、無邪気に笑う海人。


「だるっ…笑 えっけど、まさか…
 ラブシーンとか…ないよな?」

「えー?ヒミツー!教えるわけなーい♡」

「えっ?てことは…あっ…あるん?!」









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