第25章 【想い人、憑依型につき】
「…ダメや、ないけど」
「マジ?!やったぁ!!廉大好きっ!」
でまぁ、、
俺もそれを助長させとる自覚は…ある。
「……で?絵のモデルってどうしたらええの?
ポーズとかとる感じ?」
雑誌のカメラ撮りバリに流れるようにポーズを
とったら「廉さすがじゃん笑 板についてる〜!」
と笑われた。ちょびっと、いやかなり悔しい…。
「それは大変だから大丈夫よ!廉もホン覚えたり
やることあるでしょ?やんなきゃなんないこと
しながら廉は普通に過ごしててよ。
オレ、チラ見しながら描くから!」
「…んはっそんだけでいいん?
お安い御用ではあるけど……俺、高いで?笑」
オレを見下ろしながら羽織ってたジャケットを
肩で着て、自分の魅力をわかったうえで
色っぽい視線を寄越してくる廉は…あざとい。
やっぱり、廉は…全裸より着衣エロっていうか。
着崩したチラリズムがいっちばんエロいと思う。
*
海人に言われたとおりホンに目を通したり、
メッセを確認したりしとったら海人が趣味部屋から
旅館にあるような簡単な浴衣に着替えて
いろんなモンを抱えてリビングに戻ってきた。
濃い顔のやつの和装ってなんか、
独特の雰囲気あってええよなぁ…とか
ぼんやりと思っとったら両手に抱えてきたやつを
バラバラと机に散らばらせる。
絵筆…?と、皿みたいなやつと。絵の具と。
それから、
絵には関係なさそうなキセルと。
「……なん?これ。」
「ん?これ、キセルだよー。洒落てるっしょ?」
彫刻が細やかにあしらわれとるキセルを手に取って
愛おしそうに見つめた海人が
肉感的な唇で思わせぶりに咥え、
煙を吐く真似事をするように息をふうっともらして
長い睫毛に縁取られた目を伏せた。
危うく、海人に見惚れそうになった俺は煩悩に
蓋をするように首を振って海人に話しかける。
「シャッ…シャレとるけど…
海人ボイトレ始めてから喉に悪いからって
タバコやめとったやん。…ええの?」
「…ん?ふふっよく覚えてくれてんねー」
―――覚えとるよ。
海人のことやったら、何でも…
「だからこれは…気分だよ。咥えるだけ」
「ふはっ意味あるん?それ」
「…多分 笑 てか、ぶっちゃけ意味なんかなくても
いーの。オレ、カタチから入るタイプだから!」