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【KP】BL

第23章 【不自由な僕たちは】






オレは、永瀬くんのこと
人として…好きで。


もちろん、カッコいいなとは思うし、
誰にでも優しくて、おもしろい永瀬くんが
男女問わず好かれるのもわかるし
普通に…好きで。


だけど、永瀬くんに対して、
そのテの欲望を抱いたこと…なくて。


だからこそ、永瀬くんに催促されてからしか
キスしたことだって…なくて。


もしかしてこのまま、
キスだけ気まぐれにする精神的な関係が
一番いいのかも、なんて考えてたこともある。


だけど、この先どう進めるのが
正解かもわからないまま


ただただ、欲望の赴くままにお互いを求めて
轟く雷鳴さえ耳に入らないくらいに
夢中で口内を貪り合うオレたちは
情欲に濡れた
ただの、動物だった。


ガチャ
「ただいまー!」


その声にハッと我に返って唇を離した俺たちは
目を見合わせて笑い合う。


「あ、ママさん、チーズケーキ、
買いに行ってくれとったから…」

「もっと、遠くまで
買い物行ってきたらよかったのに…」

「そぉなん?
そしたら俺たち…どうなっとったんやろうな?」
クスクスと笑う悪戯な目。


ママが階段を上がってくる音が近づいてくるから
また窓際を向いて寝たふりを決め込む。


「は?笑 何で今更寝たふりするん笑」
なんて、呑気なことを言う永瀬くんに
布団をバッと剥ぎ取って見せつける。


「わかる?収まんないから!
いま起き上がんの、無理!!」
そう言い放って勢いよく布団をかぶるオレに
「青春やなぁーー笑」と満足そうな永瀬くん。


ママがノックする音に永瀬くんが返事をする。
「あらあら、起きなかったのね…
いつもだったら起こすんだけど、まだ
本調子じゃないかもしれないから今日はごめんね?
起きてないならケーキは…下で食べる?」

「あ、お気遣いありがとうございます!
ここでいただきます!」

「じゃぁ、ここに置いていくけど…
また、今度いつでも遊びにいらっしゃいね!
イケメンだからサービスしちゃう笑」

「ありがとうございますー笑」


ドアがパタンと閉まって、足音が遠ざかったのを
確認した俺は髙橋くんを揺すり起こす。














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