第23章 【不自由な僕たちは】
それより、なにより!
オレがオレでいられなくなる、気がする―――
そんなオレを置いてけぼりにして
無邪気に室内探検をしてるらしい永瀬くん。
「あっポケモンや。確かに好きとは言うとったけど…
まだ一緒に寝とるとか、可愛いすぎやろ苦笑」
髙橋くんの隣で一緒にベッドに入っとるぬいぐるみを
手にとって観察してみる。
「トゲピー?こういうんが好きなんかぁ…苦笑」
「お前はええよなぁ、動かれへんけど
夜は髙橋くんといっつもいっしょやん。
俺なんか、水曜の放課後くらいよ?
かと言って、2人でお出かけもなぁ、、
アンタの持ち主さんビビりやから出来んし…苦笑」
永瀬くん、オレとデートしたいって…
本気だったのかな、。
けど、誰かに見られたらって心配で。永瀬くんは
「友だちやからって言うたらええやん!」
なんて、言ってたけど…。
無理だよ。
こんなキラキラした永瀬くんと待ち合わせて
私服で出歩くなんて…。
絶対に、ドキドキしちゃうもん。
友だちは友だちにドキドキなんかしないんだから
「友だち」なんて紹介されたところで
絶対冷静に振る舞えないの、わかってるもん…
そんなことを思ってたら
窓の向こうで光が空を真っ二つに割いた数秒後、
雷鳴が地震のように部屋を揺さぶったのを合図に
スコールのような雨が窓を打ち付ける。
ずっと、寝たふりを決め込んどくつもりが…
「「うわっっ!!」」
思わず、声に出しちゃって。
ベッドから起き上がったオレは
驚いてトゲピーのぬいぐるみを抱きしめて
ベッドを背もたれにベッドサイドに座ってた
永瀬くんと目が合う。
「……たぬきさんですか?笑」
「ちがっ!!いま!雷の音で起きて…」
「まずさ、たぬきさんやないなら
俺が髙橋くんの部屋おんの、びびらん?笑」
ごもっともな指摘に
ぐぅ…と言葉に詰まる。
「で、たぬきさん、体調はもう大丈夫なん?笑」
「んんーー!!悪かった!僕が悪かったです!
寝たふり…してました!ごめんなさい!
謝るからその呼び方やめてよ!涙」
「起きとったんなら…わかるやろ?
ほら、何て呼ぶん?」
「れ…?」
「おん、それそれ!正解やから
自信持って言うてみ?」
「れ…いや、無理!!」
「難儀な人やなぁ!自分!」
そう苦笑した次の瞬間、
また轟音が響く。