第2章 【愛し生きること~Ren side story~】
鍵をかけたあと
茉莉花に渡しとった合鍵を手にとって
リビングに戻る。
このキーリング…
アイツいっつも出かける前、鍵探しとるから
音のなるやつがええやん笑って俺が渡したヤツやん。
渡したときは嫌がっとったクセして
ずっと、使っとったんやな…。
今日は時間空いとるけど、
誰とも会う気になれんかった俺は
おもむろにゲームを起動する。
したら、見覚えのないゲームのタイトル画面で…。
「FFって、茉莉の…?」
RPGは時間とられるし
始めたら夜な夜なやっちゃうから
この仕事始めてからは遠慮してたんやけど…
俺を待つことの多かったアイツには丁度いい
時間潰しやったんかもしらんな…。
そんな茉莉花を想像しては
自分で自分の機嫌をとる
アイツらしいよなぁ、なんて、、。
「FFっていま16なんや…てか、グラフィックえぐ笑
俺がしとった頃と全然ちゃうやん苦笑」
セーブデータを見てみると
『きっさんさっき』ってあって。
俺が発見したとき「ねぇ! これ、凄ない?!」
って報告した回文を一緒に笑った日のことを
思い出しちゃったりして…。
「……何よ、あんときはめっちゃバカに
してきたクセに、、気に入ってるやん…苦笑」
セーブデータを開くとパーティのキャラに
名前、つけとって。
変な名前つけんの、アイツらしいやんな苦笑
なんて…。
ハンバーグ、餃子、お好み焼き
「全部、食いもんやん笑
腹減っとったん…?苦笑」
スペアリブ、甘い卵焼き…
段々視界が滲んできた俺は
それ以上画面を進めることができんくて
ゲーム画面を閉じた。
どれもこれも、全部
俺が褒めたことのある料理で―――…。
ソファでそのままうつ伏せになった俺は
久しぶりに声を上げて泣きまくって…。
そのまま寝てしまっとったらしく
海人からの着信で目を覚ます。
『廉? いま、廉の家の下にいるんだけど。』
「ん? あー…そうなん?」
『……開けて?』
「んー…今日やないとあかん?
俺…、体調悪くて、、」
『え?! 体調悪いなら尚更、一緒に
いたくなるじゃん! 開けて開けて!!』
あーー…、
言い訳、ミスったわ。。
そんなこと思いながら
これは開けんとしゃーないか…
と観念して海人を招き入れる。