第20章 【囚愛の果て】
俺は、海人の心の全部を欲しいと思っていたし
海人は俺のモンだってことを宣言したくて
廉のことを待ち伏せたけど、、
俺が廉みたいな愛し方をできたら…
海人は今も俺の隣で、笑ってたのかな。
「ただ―――」
そんなことをぼんやりと思っていたら
鋭い眼光の廉が俺を射ぬいた。
「海人の笑顔を奪うやつのことは許せん。
たとえそれが、、紫耀やったとしても、な。」
廉の愛情は
その次元をとっくに越えたところにあって。
今の俺のままじゃ廉の愛情には勝てないと思った。
***
どうしよう…
とにかくあの場所から逃げ出したくて
勢いで飛び出してきたけど、
行き先があったわけじゃなかったオレは
エレベーターの中で途方に暮れる。
一応、釘を差したとはいえ、
もしかしたら紫耀が来るかもしれないから
家にも帰りづらいし、
どうしよう、、
昼間の寒さは和らいできたとはいえ、
まだまだ夜はグッと冷え込む街を
トボトボと歩きながら思い悩む。
……あぁ、そうだ。
廉が教えてくれたバーがこっから近いんだった。
そう思い立って、その場所を目指す。
タクシーを拾おうかなって一瞬、思ったけど…
思考を整理したかったオレは歩いていくことにした。
夜の散歩は…好き。
凛とした空気を吸い込みながら踏みしめると
頭の中が澄んでいく気がするから。
さっきの出来事を思い出しながら
たくさん…考えた。
紫耀のこと、
廉のこと、、
今までのこと、
これからのこと、、
落ち着いたライトアップの看板のドアを開けると
見慣れたマスターが落ち着いた声で
「…こんばんは」と出迎えてくれたから
なんだかすっごく…ホッとして。
壁際のお気に入りのカウンター席が空いてたから
指を差して「…いいですか?」と訊くと、にっこりと
微笑んだマスターからおしぼりを配膳される。
バーチェアを引いて座ろうとしたそのとき、
「…海人じゃん」と、席を1つ空けた席に
座っていた優しい声の男の人から声をかけられる。
「こ…こんばんは?」と、
恐る恐る声の主を確認すると…増田くんだった。
「そんなビビんないでよ…w」
グラスを傾けながら微笑みを浮かべる増田くんは
TV収録で見かける増田くんとは違って
色っぽくて…ドキッとした。