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【KP】BL

第20章 【囚愛の果て】





俺を見下ろす紫耀の肩を揺すって引き離そうと
しとったけど「……海人は黙ってろ!!」
そう紫耀に睨まれると涙を蓄えて肩を竦める海人。


「ちょっ…海人こわがっとるから!
 そういうん、やめてやって…!」

「……何。お前ヒーロー気取り…?笑
 で、俺が悪役なわけ?」

「…は?何言うてんの。そんなんやないって。
 けど、海人は俺の大事な相棒なんやから…
 そんな言い方はせんでやってほしい」


心臓がのど元にあるみたいで
息が、うまくできなくて…苦しい


「はっ……なに?お前のモンみたいに。
 言ったじゃん。海人は俺のモンだって」

「別に…俺の、とか思ったことはないよ。」

「へー…?お前のその余裕ヅラ
 マジでムカつくわ」


肩を竦めて俯いていたせいで紫耀の視線が
廉からオレに視線を移されたことに気付かなくて


あっ…と思ったときには
オレの腕をひいて紫耀に引き寄せられてて。


「紫耀!!紫耀、やめて!」


察したオレが逃げようとしたところで
紫耀の力に敵うわけはなくて…


「やっ!!れぇん!
 お願い、見ないで…っ!」


諦めたオレの言葉ごと
紫耀の唇にのみ込まれていった―――




……ほら、やっぱりズルいんだ。
こんなにひどいことをしてくるのに




紫耀のキスはいつだって
柔らかくて…甘い。




見ないでと懇願されたのに
目を逸らせなくて…


「……ちょっ、入院して頭沸いたん?
 人に馬乗りになったまんま何やっとんの…苦笑」
そのときの俺はこう口にして
止めに入ることで精一杯だった。


海人の唇を解放した紫耀が邪魔者でも見るかのような
視線を寄越しながら「ま、こーいうことだから。
コレで話は終わり。…ほら、行くぞ!」と海人を
連れ出そうとすると「やだ!!」とその手を振り払う


飼い犬に手を噛まれたみたいな紫耀を
涙で潤んだ瞳でキッと睨みつけて


「絶対に追いかけてこないで!!
 追いかけてきたらジンに言いつけるからねっ!」


そう吐き捨てた海人は
慌ただしく部屋を抜け出して、玄関へ向かっていった。




取り残されたのは…
ソファの上に押し倒された俺と、
その俺に跨ったまま玄関の方を見詰める紫耀。


「……何で、ジン?」

「さぁ…けどま、海人にはたくさんナイトがおる
 っちゅーことやろ。」










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