第20章 【囚愛の果て】
「ねぇれぇん!今日れぇんの家行っていい?」
翌日、打ち合わせで会った廉に訊いてみた。
「あかんよ!こないだも来たやん苦笑
……暇なん?笑」
「暇じゃ、ない…
むしろ昨日も今日も明日も撮影で忙しいし。
けど、れぇんといたいの!」
「……ちなみに、何時頃?」
俺のこのセリフにイケると思ったんか
目に見えて尻尾を振ってくる海人。
「23時頃!!」
「あー…今日飲み行くから逆にそのあたりやったら
合流できるわ。けど、えぇの?何も構えんよ?
前みたいに寝るだけになると思うんやけど。」
「それで充分だよ!」
ホントに訊きたいのは「紫耀と喧嘩でもしたん?」
やったけど、海人からまだ付き合っとることすら
聞かされとらん俺にできることは何もなくて。
海人が望むように、何をするでもなく
お互いに並行した時間を過ごして、一緒に眠るだけ。
最初はゲストルームのベッドで寝ようとしとった
海人やったけど、寝れない…とか枕抱えて
俺の寝室に来てからはなんか、いつも、、
おんなじベッドで寝とる。
ときどき、起きたときにうっかり手が繋がっとる
ことはあるくらいで別にやましいことは特別ない
んやけど、紫耀にこの現場見られたら殴られるん
かな、絶対痛いやん…とか、そんなくだらんことを
考えながら今日も眠りにつくんやろうな…なんて。
飲み終わったあと、仕事終わりの海人の車に
拾ってもらって俺の家の地下駐車場に送ってもらう。
エレベーター乗り場に車をつけてもらって、
先に降りた海人に続いて降りようとしたら
海人がドア付近で立ち止まって動かんから
降りようにも降りられんくて
「ちょっw邪魔なんやけど笑」海人を避けながら
降りると「お疲れ様でした!明日も髙橋さん
のお迎えはこちらに伺いますね」とスライドドアが
閉められ、マネくんが帰っていった。
俺が降りたあとも一点を見つめたまんま
その場から動こうとせん海人に「ほら、行くで」
と肩を叩いて声をかける。
「あっ、う、うん…」
微かに声を震わせた海人に違和感を覚えつつ
屋内の方に向かうと、
エレベーター乗り口横に常設されとる
お客様用駐車場にバカでかいロゴのついた黒塗り
のごっついゲレンデが停まっとるのが目に入る。