第20章 【囚愛の果て】
「待って。最後まで聞いて?
ひとりでもちゃんと、幸せに生きられる2人が
一緒になるからもっと、幸せを感じられるんじゃ
ないのかなって思うの。だから…」
「……何だよ。お前まさか…
約束破る気じゃねぇよな?」
海人の指に絡ませてた指を解いて
手首をギリギリと掴む。
「……いたっ離、して…」
「…3ヶ月経ったら帰ってくんだろ?
なぁ!!帰ってくんだよな?!」
「やめて!大きな声出さないで…」
「お前が帰ってくるって思ってたから我慢
してたのに話が違うじゃねぇか!!」
紫耀が掴んでた手首を解放してオレの胸ぐらを
掴んだ拍子に点滴スタンドが倒れた。
大きな物音がした病室に巡回中の看護師さんが
慌ただしくノックをした後入室してきて
『平野さん…どうされたんですか!落ち着いて
ください!』と、看護師さんが駆け寄りながら
PHSでスタッフさんに応援を頼んだあと、
胸ぐらを掴まれてたオレから紫耀を引き剝がして
帰るよう促されたので、応援スタッフが押し寄せた
隙に退室して、廊下にへたりこんだ。
紫耀はそんなオレを呼び止める言葉を
ずっと喚いてたけど、薬で抑制されたのか
暫くすると声も物音も聞こえなくなって…
ふらふらと立ち上がって、病院を後にした。
*
そのまま帰宅したオレは
ジンに入電して経緯をかいつまんで話した。
「……ごめんオレ、、紫耀のこと
興奮させちゃった…ごめんね…」
「うん……さっき病院から連絡もらった。
鎮静剤打って、いまは寝てるって…。
いや、俺こそごめん…なんか、甘く見てたわ」
「オレ、、もう、わかんない…わかんないよ、」
「海人…、大丈夫だから。俺にとって、紫耀は大切な
メンバーだけど、俺にとっては海人もそうなの。
……海人のことも守りたいって思ってるから
遠慮なく、頼ってね?」
「んっあり、がと…」
「とりあえず、紫耀は明日退院しちゃうから…
暫くは廉に頼りな?俺から廉に話しといた方が
いいならそうするけど…海人はどっちがいい?」
「…じん、ありがとう。気持ち嬉しい…
けど、そこまで迷惑かけられないし大丈夫!」
「わかった。とりあえず明日俺は紫耀と
話すけど、もし何かあったら連絡して?」
「ありがとう」とじんの存在を頼もしく思いながら
電話を切った。