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【KP】BL

第20章 【囚愛の果て】





「しょー、アイス食べる?」

「食う!食べたかったのよ。病院の食事、
 栄養はあるんだろうけど味気なくてさ!
 じんと岸くんは栄養あるモン食えって
 タンパク質系の差し入ればっかだし…苦笑」

「ふふっ2人らしいけど笑
 しょーは…疲れたときはアイスだもんね?」


まぁ、、それもきっかけは…疲れたときにアイス食う
お前に合わせてたせいなんだけど、


俺の生活は自分が思ってたより海人に彩られてて…
海人が出ていったあの日から俺は


海人が世界で一番好きだと言っていた
味噌汁も作れなくなっていた。


そんなことを考えてたら
ベッド横の椅子に腰を掛けた海人が
アイスの蓋を開け、スプーンを添えて渡して来て。


「……ありがと」

「うん。」


ひと口、口に運ぶと「うまっ」と声が重なって
目を見合わせて笑う。


いまは、こんな小さなことでちゃんと幸せを
感じられるのに…どこで間違って、
どこから掛け違えてきたんだろう…


「海人、あの頃は…ごめん。
 俺さ、今なら上手くやれると、思う。
 海人も、、思わない…?」

「……わかんない、しょーはいま、
 弱ってるから…そう思っちゃうだけかも、」

「……わかんないんなら、戻ってきてよ…
 今度は間違えないように頑張るから、、。」


アイスクリームをグルグルとかき混ぜながら 
俺の言葉を聞いていた海人が一瞬、眉毛を下げて
パクっとひと口アイスを頬張る。


「わかんないけど、オレ…思うの。2人の関係を
 続けるために無理したりとか、頑張らないと
 いけない関係って…幸せ、なのかな?」

「そりゃ、お前…他人と生活すんだから、多少は
 頑張んねぇと上手くいくもんも上手くいかない
 もんなんじゃねぇの?」

「しょーの言ってることはわかるし、久しぶりに
 しょーに逢えて、一緒にアイス食べられて嬉しい
 気持ちももちろん、ある。だけど…」

「……だよな?俺もそう!久しぶりに美味いって
 思った。俺、海人がいないと何食っても美味く
 感じなかったから食欲もわかねぇし、
 ストレス溜まる一方だし、寝た気もしないし、、

 いま俺に必要なのは入院じゃないの、海人なの。
 だから…」


おそるおそる海人の指に触れ、縋るような気持ちで
指を絡ませた俺の手を海人は…
握り返してくれなくて―――











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