第2章 【愛し生きること~Ren side story~】
私にとっての貴方は…
心を晴れにしてくれる陽だまりのような人で。
カップルがしてるようなデートは
一度もできなかったけど
それ以上の幸せを与えてくれた人。
思い返せば、くだらないことで
いつも笑ってたな…って。
だけど、廉にとっては海人くんが。
海人くんにとっては廉が
きっと、そういう存在なんだよね。
だから、廉が選んだ人が海人くんなら
身を引くことに迷いなんかあるはずもなくて…
「じゃぁ、、行くね!」
「あ、、大丈夫?忘れもんとか…。」
「あ、だね…。」
「まぁ、忘れもんあってもええやん笑
次来たときで」って言ってくれてたことなんかを
うっかり、思い出しちゃって、、。
もうここに来ることはないんだっていう
あたりまえな現実に
泣いちゃいそうになる―――…。
「…多分、大丈夫だと思うけど、
私のことだしあやしいから苦笑
もし、何か忘れてたら捨てといて…」
「苦笑 ん、わかった…。」
「じゃぁ…、海人くんと幸せにね?
今まで、ありがとう。」
もうあと少しで任務完了だよ、
最後だからお願い、笑って…って
自分を鼓舞しながら笑顔を向けると
眉毛を八の字に下げた廉が
「ありがとうって…違うやん、それはさ…。
ありがとうは俺やから、、」
って苦しそうな声を絞り出して言ってくるから
必死に我慢してた涙が…、
限界で―――…。
「俺…今まで出逢った女の子の中じゃ
茉莉花が断トツ…好きやったよ。」
「ふふっ何?やめてよw
その…変な、気遣い…笑」
笑っちゃったせいで
視界を滲ませた涙が零れ落ちる…。
私の頬を伝う涙を親指で拭いながら
「気遣いとかやなくて…ほんまに。
茉莉のこと、いい女やなって思ってんのよ。」
なんて、廉が言ってくるから…
「廉…、最後にわがまま言っていい…?」
「えぇよ。そんなん、えぇにきまってるやん?」
そうやって私を見つめる目が優しすぎて…
涙を我慢することを諦めた私は
「…私が泣き止むまで、抱きしめてて…?」
言い終わる前に私のことを腕の中に閉じ込めた廉が
「ほんまに…最後まで、やっすい女やなぁ…」
なんて声を震わせながら言うから…。
悲しい恋でいい。
短い夢でいいから…
いまだけは、
私だけの―――…。