第20章 【囚愛の果て】
海人と連絡をとらなくなって1週間くらいが
マックスしんどかったけど…
その後は少しずつではあったけど
海人のいない日常に慣れていった。
相変わらず、食欲はあまりわかないし
仕事を詰め込むのはやめられなかったけど…
そんな生活でも気が張ってたからか全然、疲れを
感じなくて…だけど、身体は限界だったのか
海人がうちを出ていってから1か月半が経った頃
レッスン中にふらついた倒れ込んだ俺は、
半ば強制的に病院に連行された。
心配そうに付き添ってくれたじんと岸くんに
「ちょっとふらついただけなのに、大袈裟なんだよ…」
なんて、可愛げのないことを言って
検査が終わったら帰るつもりだったのに
「今日は休むのが仕事!!しっかり仕事して!」
珍しくガチめに怒られて、入院させられた。
「あーーー…暇すぎ、」
早すぎる夕飯を終えて、ひと通り動物の動画に
癒やされつつ、それにも飽きて思わず呟く。
まぁ、休むのが仕事とも言われたことだし、
早めに寝るかなー、と歯磨きをしようとベッドから
降りようとしたとき、ノックの音が聞こえた。
…検温の時間だっけか?と、曖昧に返事をして
ドアの方に視線を向ける。
「か、いと…なん、で?」
「ん…じんから、連絡きた。お節介なのは
わかってるけどって、申し訳なさそうに。
……すっごい、紫耀のこと心配してたよ?
ダメじゃん、心配かけるようなことしちゃ、」
「……ごめん、」
「てか…しょー、、痩せた?」
「そう…?あんま気にしてなかったわ…苦笑」
「……だめ。ちゃんと自分のこと大切にして。
じゃなきゃ人のことなんか大事にできっこない
って…ちゃんと、わかって。」
「厳しいなぁ、海人は…俺病人よ?苦笑」
「そーだけど…、」ふ、と海人が小さく微笑んだ
その久しぶりの笑顔に胸が温かくなって…
海人の笑顔が自分に向けられただけで
嬉しかった頃の気持ちを思い出す。
「海人は…元気、してた?」
「うん、元気してたよ。しょーは、、
ちゃんと休んで早く元気になって
ジンと岸くんを安心させなきゃ」
「でも……海人に逢えるんなら
ずっと、入院してたいな…」
「……」
「なんつって、」
俺のその言葉に困ったような顔をして
手に持ってたビニール袋をプラプラと揺らす。