第20章 【囚愛の果て】
その後、一瞬場が静まって…気まずい空気に
敏感なじんが急ハンドルを切って俺を褒めだす。
「これ、曲解しないで素直に聞いてほしい
んだけどさ?
悩んでる紫耀って、すっごい綺麗だよね…
憂いを帯びてるっていうかさ…こないだ解禁に
なったビジュアルもめちゃくちゃ綺麗
だったくない?」
「だよね??オレも思った!!」
「あぁ、あれ…自分でもちょっと、思った苦笑
俺ってこんなにキレイだったっけ?って…」
普段だったら「さすが紫耀さん!受け入れるね〜笑」
くらい茶化してきそうな流れだったけど、この日は…
だよねー、そうそう!と安心したかのように
相槌を打つ2人。
「……無駄に、綺麗になっちゃった、
海人が、隣にいないのに…」
乾いた笑みを浮かべてそうに呟いた俺にかける言葉
がみつからなかったのか、じんと岸くんから
優しく肩を撫でられて…涙が出そうになった。
「もー、スリスリやめて?笑」
そう言って止めさせようとしたら、
頭と言わず背中と言わずごねごねに撫で回されて
「オレらの前でくらい、強がんのやめてよ」
こんなことを言われたもんだから
いろいろ…無理で。
結局、泣かされてしまった
「……俺ね、もっと歌もダンスも上手くなりたいし
俺らのパフォーマンスを愛してくれる人が世界中に
広まって、俺らのパフォーマンスで幸せを感じて
くれたら…って思ってあの場所から抜け出したし、
抜け出したからにはキンプリだった頃の俺らを
越えなきゃ、もっと上にいかなきゃって…。
けど、そうやってがむしゃらに頑張ってるとさ、
抜け殻に感じることもあんの。
ホントの俺って何なのかな?って…」
「うん、そうだね…俺らはさ、
多かれ少なかれ抱えてることだけど、
紫耀は本当に…繊細だよね」
「ちげーって!紫耀が繊細なんじゃなくて
神宮寺が逆に図太いんだって苦笑
だって、オレもそれめちゃくちゃ思うもん…
だからプライベートでひとりの時間ないと無理。
けど、紫耀にとってはそれが
海人との時間だったんだろ? そりゃツレーよ…」
岸くんのくせに生意気ーなんて、じんから悪態を
つかれながらじゃれ合ってる2人を見て
この2人が今も俺の仲間でいてくれてよかった…
なんて想いが胸に広がる。