第20章 【囚愛の果て】
癒しの場所だったはずの家が一番
居心地悪く感じてしまうようになって
以前にも増して仕事にのめりこむようになった俺。
「紫耀…最近どうしたの?ジムも行きだしたり
ダンスもヴォーカルもレッスン入れっぱなしだし
ずっと何かしてんじゃん…ちゃんと、休めてる?」
心配したメンバーからもこんな声をかけられる始末。
「休んでる暇なんかねぇよ、俺ら、いま頑張んないで
いつ頑張んの?」
「いや、それはそうなんだけど…」
「紫耀の気持ちもわかる!オレもどっちかっつーと
そっちのタイプだから気持ちはわかる!!
わかるけど、体ぶっ壊したら意味ねぇから!」
「それはそれで…いいのかも。
ぶっ壊れたらぶっ壊れたで、」
「……何言っちゃってんの?そんなんダメに決まって
んじゃん!つーか…紫耀、最近ちゃんと食ってる?
今日メシ行くぞ!メシ!何食いたいっすか?
今日はオレが奢るから遠慮すんなって!!」
「あら、珍しい!岸くんが奢ってくれるってよ!
紫耀の言ってることもわかるけどさ、今日は
仕事のことは置いといて素直に奢られようよ笑」
俺は…俺のことをこんなにも大切に想ってくれる
仲間に恵まれてるのに。
海人はちゃんと寝れてんのかな、とか
海人も今頃メシ食ってんのかな、とか
海人はいま…誰といんのかな、、とか
思い浮かぶのは海人のことばっかりで…
「言いたくなかったら言わなくていいんだけどさ
……海人と、喧嘩でもした?」
酒の入ったじんからそう、訊かれた。
「……なんで?」
「いや、元気ないし全然携帯見ないし、さ苦笑」
「…相変わらず、じんにはすぐバレんのな、」
「ふふっわかりやすいからねぇ、紫耀さんは笑」
「うるせぇわ…苦笑
まぁ、喧嘩っつーか、、距離置こうって言われた」
「…海人って紫耀にそんなこと言うの?!
なんか…意外だわ!」
ずっと初耳みたいな顔でじんとの会話を聞いてた
岸くんが久しぶりに会話に入ってきて
「ああ見えて海人、我強いから…言いそうじゃん?笑」
「確かに 笑…けど、そういうことならダメじゃん。
自分、追い込みすぎて周りに心配かけたら。
海人が距離置こうって言った意味、なくなんね?」
岸くんは普段ぼんやりしてるくせに
ときどき、核心めいたことを言ってくる。