第20章 【囚愛の果て】
「……そんなに廉のこと好きなら
今度廉とヤッてこいよ。
どっちがどっちでもいーからさ。」
思うんだ。
いっそ、間違いでも起こしてくれたらって。
そしたら2人のせいにして堂々と
廉との関係に口出しできるのにって…
「…紫耀それ、、本気で言ってるの…?
そんなの…そんなのダメに決まってるじゃん!」
「…何でダメに決まってんの?
俺とこんなことしといて、
ダメもねぇだろ苦笑」
「オレは……廉との関係を壊したくない。
それだけはしたくないし、できないっ!」
「はっ?お前っバカにしてんの?!
それがムカつくって言ってんだよ!
海人も廉も…いつまでも初恋し合ってる
みたいな表情しやがって!!」
リビングのテーブルに無造作に置かれていた
2人が表紙を飾っている雑誌を海人に投げつけると
床に落ちた雑誌を悲しそうな目で見る
海人にも苛ついた。
……俺が、廉に勝てるわけがないんだ。
一線を越えなかった初恋相手に、
俺が勝てるわけ…
「それの……それの何が、悪いの?」
ほらな。
どうして俺がこんなに廉をおそれてるのか。
海人は、全然わかってない…
「…ハッ!開き直んのか、お前!!
ヤッたらわかんだろ!綺麗なだけのはずの
その気持ちも所詮、こんなもんだって…。」
ほら、縋ってこいよ、いつもみたいに…。
何でもするって。
なのに、この日の海人はそうしなくて。
「そんなこと言うならオレ、別れたい…」
「は?!そんなん許すわけねぇだろ!」
「…なにそれ苦笑
それも紫耀の許可がいるわけ?
オレ達って対等じゃないの?
紫耀にとってのオレって、何?
オレは…紫耀のおもちゃじゃないから、」
そう哀しそうに微笑んだあと
サッサと荷物をまとめ始める海人を見て呆然とする。
コイツは…誰だ?
付き合い始めた頃の
俺が全てだった頃の海人じゃない。
俺がいないと海人はダメだって思ってたのに
海人がいないとダメだったのは…
俺の方だった…?
「かい…とっ、ごめん、嘘。嘘、だよ」
海人を手放したくなくて、とっさに出た言葉…
海人も笑ってくれた気がしたから
許してくれたのかなって…思った。
だけど…