第20章 【囚愛の果て】
スキルは高いくせに理想が高いからか
なかなか自信が持てなくて。
すぐに不安に陥りがちだった海人を
支えて、守りたいと思っていたし、
俺も最初は海人に対してそうだったはず。
純粋に…。
なのに、いつからか海人に対して
ドス黒い欲を持つようになってしまった。
海人の喜びも怒りも哀しみも楽しさも
海人の感情の全てが
俺から与えられるものであってほしいって…
そう、希うようになってしまって―――
「オレは紫耀のことが大好きだから…。
もう少しだけ。もう少しだけでいいから、
オレを信じてくれたら嬉しいよ…」
俺が海人を守らなきゃって思ってきたけど…
海人はもしかしたら
俺が思ってるよりずっと、大人なのかもしれない。
はたから見たら大げさに見えるくらいに
気持ちを言葉にしてくれる海人。
だけど、言葉にすることに抵抗がある俺は
海人の大げさなくらいのヤツが心地よくて。
だから…わかるんだ。
廉が海人と一緒にいて
居心地がいいの…わかる。
俺と廉は…
変なところが似てるから―――
なぁ、廉…?
俺たち、海人を失ったらどうなるんだろうな。
どちらも、どこかしらで海人と繋がっていたくて。
俺は海人越しのお前が、お前は海人越しの俺が
多分、目障りで。
お前がどうかは知らないけど
俺は…海人越しにでも
お前を感じていたくもあって…。
ほんっと、屈折してるよなって…自分でも思う。
でも、だからこそ…
俺は廉が、、こわくて
音にできない言葉を飲み込んで
俺は海人に口吻けた。
海人がいま、俺の腕の中にいて
俺のことが大好きで、
俺のことが一番大切だと言う。
それだけで充分なはずなのに―――
俺は、何を求めて
何に怯えているんだろう…
*
紫耀のキスは…柔らかくて甘い。
どんなに酷いことをされても
それだけは変わらない紫耀をずるいなって思う…。
そんな優しいキスから
深く、オレを繋ぎ止めるように
口内を荒々しく犯してきた紫耀。
求められるままに委ねてたら
紫耀の舌が離れて―――