第20章 【囚愛の果て】
「それは…見ててわかるし、よかったなとは
思ってるよ。まぁ、いちゃいちゃし過ぎじゃね?
とも、ぶっちゃけ思ってるけど…」
「それは申し訳ないけど…そうなっちゃう。
オレね?多分廉のことが過去イチ、好きだし
廉の隣にいるとね?安心するの。
…でも、紫耀だってそうでしょ?
3人でいるときの紫耀の表情柔らかいし、
2人への大好きがダダ漏れてて幸せそうだもん。
でも、それでいいっていうか…
そうなっていくのが自然だと思うし
仕方ないとも思うんだよね。」
昔は俺に負けないくらいヤキモチ焼きだったくせに
なんだか、海人が俺を置いて急に大人になった気が
して、心にぽっかり穴が開いたみたいで…
淋しさを感じる。
俺に万が一、子どもがいたら
子離れできない親になるんだろうなって…
「まぁ…かもな。でも、海人は
廉とだけじゃなくて色々、広がってるよな」
「うん、ありがたいことにいろんな人から刺激受けて
毎日充実してて幸せ…」
海人には…たくさんの才能があって。
おまけにその才能にあぐらをかかずに
没頭して努力できるやつで。
その上、それを努力とは思わず楽しいから!
なんて言葉で片付ける。
海人を間近で見れば見るほど思うんだ。
海人には敵わないよなぁって…。
俺たちのなかで一番可能性を秘めてるのは
海人だと俺はずっと思ってるし、
この世界で戦える一流の武器をいくつも持ってて
世間に海人の才能が見つかるのを待ってるだけの
状態なんだろうなって…俺は真面目に思ってる。
おまけに海人は可愛げの塊で…
そのくせちゃんと、感謝できるヤツだから。
海人と一緒に仕事したいと思われるのは当然だと思うし
そんな海人の可愛げは俺が一番知ってるつもりだし
そういう海人に俺が惚れこんだのも事実。
だけど、表立ってはもう海人にそれを与えて
あげられないことが俺は…淋しくて。
逆に、それを堂々とできる立場の廉に
俺は…嫉妬してるんだと思う。
「オレが今も挫けずにこの世界で頑張れてるのは
あのとき紫耀が守ってくれたからだし
支えてきてくれたおかげ。
…だからね?
オレにとってのヒーローはずっと、紫耀。
それは、今までもこれからも
永遠に変わらないから。」