第20章 【囚愛の果て】
「普段はオレに優しい紫耀を
そうさせちゃったのは何だったんだろうって、、」
海人は…いつも人と接するとき穏やかだ。
角が立たないように、自分がどうしたいかより
自分がどう立ち回ることが最適か。
それを常に考えてくれる海人に
俺はずっと…甘えてたんだと思う。
「……あのね?オレもヤキモチ焼きだから
しょーの気持ち、わからなくもないよ?
けど、でも、、大事なのはオレの気持ち、でしょ?
オレは…しょーのことが一番、大切。
それじゃだめ…、なの?」
紫耀がそっと、オレの頬に触れて…
「俺もだよ。俺も、お前が一番大切。
なのに、、……ごめんな?
昨日の俺、どうかしてた。
自分で自分を…コントロールできなかった」
オレの恋人は…
誰もが羨む美貌と才能を持っている。
なのに―――
「愛してるよ、海人…」
こんな言葉でオレを縛ろうとするくらい
臆病で、懐疑的で、未熟だ。
だけど、そんな未完成な紫耀に惹かれてるのは
他でもないオレなんだから…
「オレも、愛してる――」
それはもう、しょうがないんだよね。
***
普段の紫耀は優しくて、最上級の愛で包んで
オレのことを大切にしてくれる。
ときどき、牙を剥くこともあるけれど
ちゃんと反省してくれるし、それから暫くは
いつも以上に慈しんでくれるから…
なんだかんだ、赦しちゃってる。
この日もご飯を紫耀と一緒に食べて
ソファでそれぞれ好きなことをして過ごす
オレが大好きな穏やかな時間。
そんなときにオススメに流れてきた
3人のわちゃわちゃ動画に自然に顔が綻んで。
「ねぇ、岸くんってずっとジンに一途だよね笑」
「それな!マジでさ、言ってることただのファン
だから。こんなに髪の毛濡らしてくるとは
聞いてないとか…ヤバいよね?笑」
「ふふっ、この2人はないの?そーいうの。」
「……ないんじゃね?
3人グループでそんなことになったら
俺がいたたまれなくて可哀想すぎんだろ!苦笑」
「たしかにー笑」
「まぁ、岸くんはジンがその気になったら
わかんないけど。ジンは100パーノンケだから!
俺ら6人のなかでリアルに一番モテてたのって
ジンじゃん?まぁ…、お盛んですよ笑」
「あー、今もなんだぁ笑」