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【KP】BL

第20章 【囚愛の果て】






ちょっと、心配になるくらい…。


「簡単に朝めし作ったけど、食べれそ?っつっても
 昨日作っといた味噌汁と簡単なやつだけど…」

「嬉しい!紫耀のお味噌汁、大好き!」
何の変哲もないモンをこんなに喜んでくれる
海人は何回見ても可愛いし


ダイニングテーブルにいそいそと座って
「紫耀も一緒に食べれる?」と控えめに
訊いてくる海人もいつもどおり愛おしくて。


「うん、今日はちょっと時間あるから食べれそう」
と海人の向かいに俺が座ると、
嬉しそうにいただきますをする海人。


そんな海人と一緒に過ごす時間が幸せで、
手放したくないと思う。


昨日、あんなことしといてよくそんなこと…って
自分でも思うけど、、


一緒に同じ目標に向かって頑張れていた頃は
あんな気持ちになることはなかったのに。


今後について話し合いを始めたあたりから
水面下で進めないといけないことも増え
共有できないことが増えていった。


こうなることを理解はしていても
小さな不安や不満が海人に言えないまんま
溜まっていってたのは…事実だと思う。


だからといって、
昨日の自分の行為を肯定できるわけもないけど、。




「このお味噌汁…昨日作ってくれてたんでしょ?
…紫耀と一緒に食べられなくてごめんね?」

「や、ごめん!そーいうつもりじゃなくて!
今朝海人と一緒に食べたくて朝サボるために
昨日作っといただけだし、なんつーか…
昨日は本当に、悪かったなって…反省してる」

「ん…」ちょっと気まずそうにコクンとひと口
味噌汁を流し込む海人。




「うまぁっ!オレねぇ、呑んだ次の日の朝、
紫耀がよそってくれる大根のお味噌汁が
世界一大好き!」

「大げさ…笑」


あんまりにも海人がいつもと変わらないから
昨日海人を追い詰めた自分は
夢だったのかな、とすら…


だけど、
お椀を持つ海人の手首に遺った紅い痕が、
現実だったことを知らしめてくる。




「…紫耀、いつもありがとう。
 今のオレがいるのは…紫耀のおかげだよ?」

「え……俺、フラれんの?苦笑」
振られても仕方ないことをした自覚は…あるけど


「違くて。紫耀にはちゃんと、知っててほしくて。
 えとね、いろいろ、、考えたの。
 昨日のことも、紫耀だけが悪いわけじゃなくて…」
 











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