第20章 【囚愛の果て】
深酒をして、隙だらけの姿を晒しながら帰宅した
日の夜、玄関先の姿見に海人の顔を押しつけ
頭の上でギリギリと両手首を纏め上げた。
その姿に煽られた俺は荒々しく海人の下半身を
露出させ、ローションを仕込んでいたシリンジで
海人のナカを強制的に潤わせ
自分の滾りに雑にローションを纏い
欲望のままに海人を抱きつぶした。
意識を飛ばして崩れ落ちた海人の涙を拭って
そっと、抱きしめる。
「…ごめん、、かいとごめん、俺…っ」
「……ん、、」
海人を抱きしめていた腕が微かに震える。
「しょー…、泣いてる?」
「……泣いてなんか、」
「でも、」
海人のことが大切なのに。
海人の笑顔が好きなのに。
その笑顔を昨夜奪ったのは
他でもない俺自身で。
自分をコントロールできなくて…怖かった。
俺にも俺の世界があるように
海人にも海人の世界がある。
そんな当たり前のことはわかっているのに。
わかっていたはずだったのに。
「しょー…泣かないで?オレは大丈夫だから…」
眠さも限界だったのか
その言葉だけを残して再び意識を手放した海人。
海人を抱きかかえてベッドに横たわらせ
体を拭き上げるために濡らしたタオルが
レンジの中で温まっていく様を
ただ、ぼんやりと…眺めていた。
寝室に戻って、海人の躰に散りばめられた
自分の欲を優しく拭いながら、
言葉にできない後悔に襲われた俺は
海人を抱き寄せることもできずに
背中を向け合って眠れない夜を過ごした。
***
翌朝、朝食の準備をしていると
いつもどおりの海人が起きてきて。
「おはよぉ、めっちゃいい匂いするぅ…」
「あ、海人…おはよ!」
目をこすりながらずるずるとベッドから
移動してきた海人がリビングのドア付近で佇んでる。
うちには住み慣れてるはずなのに
勝手がわかんないばあちゃん家で目が覚めた
子どもみたいでかわいい…。
「そんなとこに突っ立ってないでこっち座んな?」
「あっうん…でも、、」
足をもじもじとさせながら躊躇う海人。
「その……昨日は、悪かった。反省してる…。
ドーナツクッション、置いてるから、、座って?」
「ありがと…しょー優しいね、」
その痛みの原因を作った俺にこんな言葉を
素で返せる海人はお人好しにも程がある。