第2章 【愛し生きること~Ren side story~】
そんなことを思ってたらバスルームの扉が開いて
濡れ髪の廉が「…えっち笑」なんて言いながら
タオルを取ろうと手を伸ばしてて。
「あっごめん!!」
慌ててタオルを渡しては脱衣所を出て
リビングに戻ったんだけど、
何度見ても濡れてる廉は心臓に悪い…。
暫くしてリビングに戻って来た廉が
「茉莉ちゃん、昨日はほんまごめん!
っちゅーことで…
お詫びのアイス、もう届いとるかも。」
なんて言いながら
玄関先の宅配ボックスを確認しに行く。
「やっぱ、届いとったわ!
注文しとる間に風呂入ると丁度上手く
時間使えんのよなー!」
もう何回も再放送のその情報なんだけど、
よっぽど嬉しいのか嬉々として話す廉が
かわいくて、思わず顔が綻ぶ。
取りに行ったアイスを私に渡しながら
「…ごめんな?」って言う廉が好きで。
…知ってる? そんな貴方も好きだから
約束破られるのも嫌いじゃなかったりすること。
廉には絶対に、言わないけどね。
「やっぱ、俺の分も買っといて正解やったわ!
一緒食べん?」
「うん…じゃあいただこうかな?」
先に座った廉の隣に腰を下ろすと
「はい、茉莉ちゃん、スプーン。」
っていつもかいがいしく世話を焼いてくれるから
きっと、いいパパになるんだろうな…
なんて、、叶いもしない想像をさせる
廉の無意識な残酷さに抉られながら
「ありがとう」っていつもどおり返す私。
廉は早速クッキー&クリームを一口頬張っては
「うまっ! いつもうまいけど、
風呂上がりのアイスは特別うまいよなぁ!」
幸せそうに言いながら、あっという間に平らげて。
本当は…この廉が見たくて
アイスをお詫びの品に選んでるなんて
きっと、廉は知らないし
知ることもないんだろうなって思う。
でも、そんなこと知らなくても
…むしろ、知らないまんま
「んー! ほんと幸せ!」って笑う私に
「やっすい女やなぁー笑」
なんてからかってくる廉が好きで。
そんなことを思いながらアイスを食べてたら
視線……、感じて。
廉の方を向いた途端に絡み合う視線―――…。
「茉莉は…かわいらしな」
「……知ってるよ笑
でも廉も、かっこいいよね。」
「皆さん、ご存知ですよ笑」
「ご存知でしたか笑」
「でしたねぇ!笑」