第16章 【いつの日のキミも】
「そっかぁ…
どおりでめっちゃ似てると思いました!!」
よかった、信じた…?
「…やろ?やからいつも廉くんが
お世話になっとるお礼、させてくれん?」
「どっちかっていうと僕がお世話になってる
気はしますけど…ごめんなさい!
倖生さん、甘えさせてもらってもいいですか…?」
あっぶな!!!…もしこんなきゅるんきゅるんの
上目遣いで「廉さん」なんて呼ばれとった日には
どんだけHP削られとったことか!
絶妙に俺より少しだけ低い背丈のせいで
基本的にずっと、上目遣われとる俺。
そういう意味でも
本名偽って正解やったんかもしらん、、
14歳の髙橋海人、恐るべし。
この破壊力は…えぐい。
ほんであのパフォーマンス力やろ?
社長が俺らと入所して間もない海人を
組ませたがった理由がよぉわかるわ、、
「えぇに決まっとるやん!よっしゃ!
そうと決まったら着替えんで!」
いまクローゼットにある洋服で小さめのサイズ
の物を海人にあてがう。
「俺は向こうで着替えるから
かいくんはここで着替えたらええよ。
出先で買おたるから
サイズ合わんのは一旦、我慢してな?」
*
「かいくん、着替え終わった?」
「あ、はい!終わりました!」
「…入るで?どう?」
リビングに戻ると俺の服を身に纏った海人がおって
新鮮な気持ちになるというか、なんというか、、
今からこれで連れ立って外を出歩くんか…とか
そんなん、公開!俺着萌えやん…とか
そんなことを思っちゃって
自分で勝手に恥ずなってくる。
「…なんか、着心地がいいです、、
いい生地ーって感じ…」
「そ?気に入ってくれたんならよかった。
んじゃ、行きますか!」
海人の肩を押して電車スタイルで
玄関に誘導しようとすると
「倖生さんって…
いつもそんな感じで出かけるんですか?
なんか、、モデルさんみたい…
ちょっと、いい匂いもするし、、」
と振り返っては悦に入った目で見つめられる。
このまんま2人きりでおったらまずい気しか
せんくて「惚れたらあかんで〜笑」なんて
茶化しつつ、足早に玄関に向かった。
美味いパン置いとるカフェに寄って、
とりあえず、24の海人御用達の店に向かうと
店に入る前に俺のTシャツの裾を引っ張った
海人に止められる。