第16章 【いつの日のキミも】
「けど、こんだけイケメンでこんないい家に
住めるなんて…倖生さん、なにものなんですか…」
10年後、海人もおんなじレベルの生活しとるよ。
なんて思いつつ、そうかぁ、としみじみする。
10年前の自分らからしたら俺たちは“なにもの”って
存在くらいにはなれとるんやな、
そんなことを思って苦笑した。
「…見る?部屋」
「えっ!いいんですか?!
僕、部屋とか家具とかインテリア好きで!!」
知ってますとも笑
突然始まったルームツアーに
スウェットの肩口が落ちてきて
ズボンを引きずりながら歩いとることに気付く。
身長も…海人のつむじがよぉ見えるくらいには
小さいし、なんといっても…体が薄い。
「あー…なぁ」
呼びかけようとして、躊躇う。
初対面のヤツから突然の海人呼びは
警戒させるよな、と。
「?」
「あっ…髙橋くんはさ、友だちとかから
何て呼ばれとるん?」
「えっと…カイか海人です。
家族は海ちゃんとか…」
なるほど。
この海人はまだRの法則前の海人やから…
かいくんって呼ばれたことはないはずやんな?
「かいくんって、呼んでもえぇ?」
「呼ばれたことないけどいいですよ!」
あほ!呼ばれたことないからこそやんか!
とツッコミつつ、本来は海人も
自分だけの呼び名に喜ぶタイプではあるもんの
この関係値ではまぁ…しゃーないなと納得する。
「じゃぁ決まりな!かいくん、
ブランチがてら買い物でもせん?」
今日は撮休になって海人と過ごす予定やったから
丁度よかったわ、と気軽に誘う。
「買い物…でも僕、財布とか何もないっぽくて、、」
「あほ!中学生に金出させるかい!笑」
なんなら10年後のキミにも結構、貢いでますよ!
なんてことは言えんから我慢する。
「でも…うーん、、
会ったばっかの人に奢ってもらうなんて、」
出た。頑固海人。
なんか理由探してやらな納得せんやつやんなぁ…
「まぁ、確かに会うたばっかやけどな?
んー、、あー!その俺に似とるっちゅー
永瀬廉くんって子?多分、俺の遠い親戚なんよ」
「えっあっ…そう、なんですか?!」
「もう小っこい頃に会うたぶりやから
忘れとったけど、そうなんよ!その子あれやろ?
大阪住んどるジャニーズの子やろ?」
「そうです、そうです!」