第11章 【水曜日はキミ曜日】
そんな髙橋くんの言葉を聴きながら
あぁ、やっぱり…あのとき感じた予感は
間違ってなかったんやなぁ、、なんてことを思う。
「髙橋くんってさぁ、俺と初めて会った日、
覚えとる…?」
「……入学式?」
「んーん!」
「…入学説明会?」
「んー、ちゃうなぁ!」
「えっ、いついつー?!」
「いつやろうなぁ?笑」なんて返事をしながら
やっぱ、覚えとらんかぁ…
って、軽くショックを受ける。
「あっ、バス来た。じゃあ、宿題な?
思い出したら教えたるわ笑」
バスの中から手を振る永瀬くんに振り返しながら
一生懸命に記憶を辿る。
入学式でも入学説明会でもないとしたら…
それより前に会ったことがあるってことだよね?
…え?塾が一緒だった…とか?
でも、永瀬くんが塾にいたら絶対に目立つと思うし。
部活が同じで練習試合で実は対戦相手だった…とか?
んーでも、永瀬くんが対戦相手だったら以下同文…。
考えをいくら巡らせても
永瀬くんからの宿題を提出できる気がしなくて
「えぇーー…めっちゃ気になるじゃぁん…」
気がついたらバスを1本逃してしまっていた。
***
次の日登校すると、黒木さんを狙ってた男子も
永瀬くんを狙ってた女子も沢山いたせいで
殆どの生徒が知るところになっていたうえに
永瀬くんが悪者扱いされていて…
「黒木さん振るなんてアイツが見る目ないんだよ!
気にしなくていいって!」
「私はちゃんと、好きだったのに、
勇気出したのに、信じてもらえなくって…」
「ひどっ!最低じゃん!!
アイツ調子乗ってるって前から思ってたし!w」
「だよな?!俺も俺も!!」
てか、泣かないでよ、黒木さーん…!」
あぁ、原因はこれかぁ…
と彼女のしたたかさにげんなりした。
丁度、登校してきた永瀬くんが通りかかったから
「…いいの?あんなの言わせといて」
と話しかけると「えぇよ笑
どっちにしろ好き勝手言われるんやから苦笑」と
慣れっこの様子の永瀬くん。
永瀬くんにとってはそうかもしれないけど、
僕にとっては永瀬くんと仲良くなってから初めてで。
なんだかすごく、腹が立った。
「そーいや思い出した?昨日の宿題」
「…わかんなかった。」
「わからんかったかぁ…」
ヘラっと笑った永瀬くんにも腹が立った。