第11章 【水曜日はキミ曜日】
それから…毎週水曜日のお弁当と昼休みの時間を
2人きりで過ごすようになった僕たち。
いろんな話をするうちに敬語まじりだった僕も
この時間だけは永瀬くんと、
結構フランクに話せるようになってきていて
図書室での時間が1週間の楽しみになっていた。
少なくとも、僕は…。
***
一緒に水曜日を過ごすようになってから
4カ月が過ぎて寒さが滲みるようになってきた頃。
「今日は早く帰れると思ったのになぁ!」
図書委員会の話し合いが長引いたせいで
人気もまばらな放課後の教室に急ぐ。
荷物を取ろうと、ドアに手をかけたそのとき
教室からの声に咄嗟に身を潜めた。
「あのっ永瀬くんっ!私…っ」
声の主は多分…入学式のとき男子の話題の中心だった
学年で一番の美人だって噂の黒木さん。
「すっ…好きです!」
「…そうなんやぁ。ありがとうな?」
あんな美人に、一生懸命に想いを伝えられて
嬉しくない男なんて、いるはずがなくて。
「付き合って…もらえますか?」
「あー…はは、ごめんな?
俺、キミのことよぉ知らんから。」
「…1年4組、黒木瑠美です。
その他のことはこれから知ってもらえたら
いいなって思ってるんですけど…ダメですか?」
「…ほーん、随分と、自分に自信があるんやね。
そういうコは嫌いやないけど、
俺…気になっとるコおるから」
…いるんだ、そういうコ。
なんだか、モヤッとした。
「…うちの学校ですか?」
「ヒミツ!と言いたいとこやけど笑、
伝えてくれたお礼に教えたるわ。
おんなじ学校のコよ。」
「…付き合えそうなんですか?」
「んーーどうやろうなぁ!正直わからん!笑
結構、何考えとるかわからんコやから…苦笑」
「じゃあ、良くないですか?私と付き合っても。
お試しでもいいんです。」
結構食い下がる黒木さんに
永瀬くんは突然嗤って…。
「あはは!そのコに振られたとしても
キミとは付き合わんかなぁ苦笑」
「…ど、どうして?」
「だってキミ、好きやないもん。俺のこと。」
「そんなこと…」
「ふはっ!そんなことないんは俺の見た目やろ?」
「…え?」
「俺、アクセサリーやないから。
あんま舐めんといて?苦笑
どーせ、アレやろ?クリスマスに連れて歩くのに
丁度えぇか、程度のやつなんやろ?」
「……ひどいっ!」