第11章 【水曜日はキミ曜日】
「あっもしかして…朝からつまみ食いしたとか?
意外とわんぱくやなぁ、髙橋くんは!笑」
「いや、そうじゃなくて…
僕、自分で作ってるから。」
「えっ!スゴッ!見して見して!!
なおのこと今日から一緒に食べたいわ!
場所は屋上か…さっきの中庭か…」
「じゃあ、図書室はどうですか?僕、水曜日は
昼休みに図書の係があるから図書室だと助かるかも。」
「そうしよそうしよ!決まりな!」
2人でお弁当を教室に取りに戻ったあと
連れ立って図書室に向かう。
僕がお弁当を開けると子供みたいな顔をして
覗き込んでくる永瀬くん。
「うわぁーー!すごない?!
弁当って作れるんやなぁ…!!」
「えっ?!それはそうでしょ笑
だって、永瀬くんのお弁当だって
お母さんが作ってくれてるでしょ?」
「それはそうやけど、俺とおんなじ高1男子が
作れるってのがすごない?!
しかも、めっちゃ美味そうやし…!」
地味だけどね、なんて言葉が喉まで出かかったけど
さっき永瀬くんが言ってくれた言葉が浮かんで
飲み込んだ。
それに…相変わらずキラキラの顔で
あんまりにも褒めてくれるから
「…よかったら、食べる?」
「ええの?!」
「うん、いいよ?味の保証はできないけど。」
「ほんならこの卵焼きいってもい?」
「うん」
「…うんまっ!!俺の好きな甘い味付けっ!」
たまたま…今日は甘い卵焼きにしてて。
その日の気分でだし巻きかどうか決めて
作ってたけど、水曜日は甘いの決定だな、
なんてことをこっそり思う。
「よし、食った食った!ちょい昼寝する?」
「なんでですか!苦笑
みんなが来る前に本の整理しなきゃだから」
「ほーん…そうなん。」
「……なにそれ。ダジャレ?」
「えっ?何が何が?どこが??」
「………いいです。違うなら。」
下を向きながら
ひたすらにバーコードをピッピしてる髙橋くん。
「えっ、ホンマにわからん。何?」
「いいってば!しつこいな笑」
「ごめんって笑 ね、係の仕事手伝ってもいい?
俺もそのピッピするやつしてみたいわ!」
「あっ、これはもう終わっちゃいました…。」
「そうなん?ちょっと、それは…ズルない?笑
ピッピは子ども時代一度はみんな憧れた夢やんかぁ」