第11章 【水曜日はキミ曜日】
「さっきは急に昼飯誘って…ごめんな?
淳に怒られたわ。俺は…世間知らずやって。」
「淳…」
「髙橋くんの前の席の山口な。」
あぁ、と顔と名前が一致したらしい髙橋君が頷く。
「あの…な?俺、髙橋くんと仲良くなりたくて。
髙橋君、頑張り屋さんやし俺に持ってないもん
持ってる気ぃして、話してると楽しいんよ。」
「ぼっ僕なんて、そんな…
大していいことないですよ、僕といても…。」
「あぁ、それ!それまずやめれる?
自分卑下すんの。俺、自分の友だちのこと
悪く言われたら嫌っちゅーか…悲しくなんのよ。」
「えっと…自分の…友だち…?」
「そ!自分の、友だち!」
永瀬くんの指差しを恐る恐る
確認するために聞いてみる…
「永瀬くんの、友だちが、僕って…こと?」
「…ダメ?俺は、席が離れてからも話したいし
もっと仲良くなりたいと思っとるんやけど!」
なんて…こんなキラキラの笑顔で言われて
断れる人、人類史上いないと思う。
「ダメっていうより…さっきも言ったけど、
永瀬くんの友だちと僕、仲良くないし…。」
「あぁ、うん、それなんやけどな?
別にグループぐるみじゃなくて…。
俺も確かに髙橋君の友だちのことよぉ知らんし。
グループはそれぞれ違ってもさ
週に1日だけ、2人で一緒に昼飯食べん?」
「…それだったら、。けど、いいの?永瀬くんの
貴重な1日を僕なんかに使っちゃって…」
「はい、イエローカード!笑
俺が誘っとるんよ?いいに決まってるやん笑」
俺の言葉にホッとした表情をする髙橋君。
「じゃあ、何曜日にしますか?」
「おっそやね、曜日決めんとな!
なんか、前のめりで嬉しいわ笑」
そんな自分を指摘されて、急に恥ずかしくなって…
「あっ、ちがっそーじゃなくて!」
「…違かったん?嬉しかったんやけど…」
「あっ違くない…けど、」
教室に戻りながら
1週間のスケジュールを共有すると
髙橋君が意外と忙しくしてることを知った。
「じゃあ、水曜っちゅうことで!今日からやな!」
「や…えっと…心の準備とお弁当の準備がいるんで
来週…はもう夏休みなので、2学期からがいいです。」
なんて出鼻をくじかれる。
「弁当の準備って何よ笑笑」
「今日の僕の…地味だから。」
「えっ…、もう弁当のラインナップ知ってんの?」