第11章 【水曜日はキミ曜日】
そんな日々が続いてたある日、
思ってもなかったお誘いを受けた。
「髙橋くん、弁当一緒食わん?」
「えっ…い、いや、だ、大丈夫!」
「何で?」
「だって…永瀬くんの友だちと僕、仲良くないし
永瀬くんだって、そう…でしょ?」
「……あかんの?」
「だっ、だっ、ダメだよ!!だって永瀬くんは
超1軍なのに、僕なんか、2.5軍っていうか…
本来なら話しかけちゃいけない人だし!」
「…それ、誰が決めたん?」
「決めたっていうか…そっ、そういうもんなの!
とにかく、僕は永瀬くんとは一緒に食べない!!」
そう言い捨てたオレはその場に居づらくて
トイレに逃げ込んだ。
「廉、振られてやんのー笑」
「そんなんちゃうわ!笑
けど…、ダメなんかな?そういうカースト?的なん
あんま気にしたことなかったけど、。」
「そりゃ廉は気にしたことないだろうねー
上側の人間だから。」
「…そういうもんなん?」
しょうがないなぁ、とでも言いたげに
大きなため息をつく淳。
「そういうのはな?上側は気にならないもんだから。
金持ちもそうだろ?貧乏人が勝手に羨ましがって
妬んでくんの。上側は当たり前に生活してるだけ。
中途半端なやつがマウントとったり
だせぇことするだけで、本物はそんなことしなくても
劣等感を勝手に刺激しちゃうことあんの。何ごとも。
才能もそうだぜ?天才はな、無自覚に
うーっすら凡人を傷つけながら生きてんのよ。」
「……自分ってただのアホちゃうかったんやな。」
「俺がどうこうっつーより、
思うに廉が世間知らずなだけだけど苦笑
まぁ…、箱入りだから
しょうがないわなー廉ちゃんは!笑」
グシャグシャと頭を触られる手から逃れるついでに
教室を出ると
向こうから戻ってきた髙橋君が見えた。
「髙橋君!!」
俺を認識した彼が教室とは逆方向に走り出すから
追いかける。
「待って…!」
「やっやだ!待たない!」
「ねぇ…止まってって!」
「うっ…やだ、なっ何で追いかけてくんのぉーー」
「髙橋君が逃げるからやん!」
「ぼっ、僕体力ないからもう走れないけど、
もう…こっ、来ないでよー!」
倒れ込みながら髙橋君が言う。
「俺ら、お互いにあんま足は速くはないな苦笑
全然追いつかんし、逃げ切れんから
無駄にマラソンしてもたやんなぁ?笑」
中庭の芝生に2人で寝転んだまま笑う。