第7章 全員で
一気に静かになる空気。映画はつけっぱなしなのに、重苦しい気がして俺は少し緊張した。
「MEN、あれは持ってきたよね?」
とドズルさんがMENへ目を向ける。そういえば、MENは何か紙袋を持っていたなと思い出していると、もちろんですと答えて白い小さめの箱を持ってきた。
「何なに?」
リアクションの大きいぼんさんは期待と不安が混ざったような声を発する。
「これなんだけど」
ドズルさんの控えめな手つきが、ゆっくりと箱を開ける。そこにあったのは。
「わぁ〜……きれいやん!」
真っ先に声をあげたのはおらふくんだった。
ね、きれいだよね、おんりー。とおらふくんが俺の方を見て訊ねる。
俺はおらふくんのその丸い目から箱の中身をもう一度見、小さくコクリと頷いた。それ以上に言葉が出ないでいると、お喋りなぼんさんが早速言葉を口にした。
「何これ……高かったんじゃない?」
そう言って俺たちが見つめる箱の中身には、四つのリングが収まっていた。
それは俺たちのメンバーカラーをした指輪で、赤いリングはすでにドズルさんの薬指に嵌っていた。いつからつけていたんだろう。さっきはつけていなかったはずだ。
「ははは。みんなのために作ってもらったんだ」
ドズルさんはニコニコ笑いながらそう言った。よく見ればみんなのサイズにぴったりだ。俺が驚いてドズルさんを見やれば、MENが付け足すようにこう言った。
「新しいグッズを作るからって俺たちの指のサイズを測ったのがまさかこのためだったなんて」
言われて思い出せば、確かに指のサイズを測っていた。だけどそれは三ヶ月も前の話だ。その日からドズルさんはこの指輪を作ることを考えていたというのだろうか。
「ドズルさん……ありがとうございます」
礼を述べると、ドズルさんはさらにケラケラと笑った。こんなに無邪気そうに笑う彼は、いつもこうしてサプライズを用意してくるからドキドキが止まらない。
そうして、みんなで指輪を見せあったり談笑をし、一日を終えた。夜に撮影があるので、皆夕方にはそれぞれの家に帰宅した。
しんと静まり返った自宅を俺は振り向いた。また夜から撮影が始まるが、その時はチームとしてだ。会う時は日替わりの恋人だということは、多くのみんなには、今はまだ、秘密だ。