第1章 ドズおん
月曜日はドズルさんの日。
ドズルさんは落ち着いた大人って感じで、いつもどこかの店に連れて食事を奢ってくれる。
そして夜になると俺の家に来て一緒に映画やアニメを見る。最近は俺の好きなアニメを見るようになって、時々真剣そうに推理をするドズルさんの目を横から眺めているのが習慣となった。
こうして俺がじっと顔を眺めていると、どうした、おんりーとドズルさんがこっちに向けて笑うからちょっとびっくりする。ドズルさんは年齢の割に童顔で、笑うとますます子どもっぽく見える。でもやっぱりこうして見ても金髪は似合わないから、黒髪でよかったなぁと思う。
「こっちおいで、おんりー」
あんまり横顔を眺めていると、ドズルさんがそう言ってくることがある。いつも言ってくる訳ではないので、仕方ないなと言いながらドズルさんの膝の上に乗ってあげる。
ドズルさんの膝の上は筋肉質で硬い。その腕に包み込まれるとますます安定感が増して落ち着く。ドズルさんってなんでこんなに体温が高いんだろう。アニメを見ていると気づいたらドズルさんの膝の上で寝てしまうことがある。今日は寝たフリをしてドズルさんの腕に頭を乗せると、呟き声が聞こえた。
「かわいいね、おんりー」
思ってもいなかった言葉を聞いてしまってドキリとする。聞かなかったことにしようと目を閉じてやり過ごそうとしたが、すぐにはドズルさんに見抜かれてしまった。
「ははっ、寝たフリしてたのは気づいていたんだよ?」
うっ、と言いたくなる声を飲み込んだ。ドズルさんはさらに話続けた。
「寝たフリしなくても、いくらでもお姫様抱っこしてあげるよ?」
「お、お姫様じゃないし……」
恥ずかしくなって思わず言い返せば、ドズルさんは軽快に笑った。
「じゃあ、おんりー王子?」
こうやって甘えたみたいに見つめられると、俺はまるでドズルさんの両手で揺り籠にされているみたいな気持ちになる。
「んー……まぁ……」
俺が折れるとドズルさんは僕の勝ちだねって言いたげに笑う。俺はその笑顔が見たくて折れただけなんだけど、と言い返すことはしないけど、ドズルさんのことだ。本当は全部見抜いているんだろうな。
「おんりー、ちょっとまた痩せた?」
「そんなことないし」
俺が痩せたんじゃなくて、ドズルさんに力がついているんだと思う。腕の筋肉、また逞しくなったみたいだ。