第20章 蒼炎乱舞※死柄木②
ゆらのその顔を見て笑ったのは、今度は死柄木の方だった。
「あんた……本当っに下手くそ……。」
見下ろす死柄木の目を見ながらゆらはそう言った。
「ああ……その顔がいい…。」
そう言って死柄木は体を倒すとゆらにキスをする。
舌が絡まって、たまに相手の舌を喰んだ。
その度に嫌な顔をするお互いの顔を見ながら自然と腕が絡まる。
死柄木を抱き締めながら、下手くそな律動に眉を顰める。
だけど、その痛みが少しだけゆらの衝動を抑えた。
ゆらの中が濡れ始めた頃には、耳元で聞こえる死柄木の息も荒くなる。
「……今日は……。」
このまま中で最後まで終われそうだ。
そのまま中で果てそうな死柄木の背中に思い切り爪を立てた。
痛みにイラッとした死柄木の顔を見ながら、ゆらは睨む様に言った。
「あんたとは、そんな仲じゃないでしょ。」
これはただ、お互いの衝動を楽しむだけの行為だ。
それだけのはずだったのに、今は誰よりも死柄木への衝動が1番気持ち良かった。
本能を刺激される様な目の前の男を持て余せて、ゆらはぎゅっと拘束している手を握った。
「はぁ……出すぞ……。」
ゆらの身体を抱き締めながら、死柄木はそのまま射精した。
急に抜かれて痛みに顔を歪めると、死柄木の精子が頬まで飛んできた。
「………最悪………。」
肩で息をして余韻に満足そうな笑みを浮かべている死柄木を見ながら、ゆらは今日1番の嫌な顔をする。
本当にこの男とは仲良くはなれない。
まぁ、そんなのお互い望んではいないが。
そんな事を考えながら、ゆらはゆっくりと目を閉じた。