第19章 蒼炎と一騎当千※轟焦凍・ホークス
「………寮の方が良かった……。」
ゆらは目の前のホークスにため息を吐きながら呟いた。
「お前を1人で自由に出来る訳ないだろ。」
自由を求めて雄英を出たつもりが、ゆらの辿り着いた場所は雄英より監視がキツい、ホークスの家だった。
「ホークスのご飯は美味しいけど……。」
あまりにも自由な時間が無さすぎだ。
相変わらず、グズグズと文句を言うゆらにホークスはため息を吐いた。
「いいからさっさと食べろ、明日も早いぞ。」
そうゆらの頭にポンと手を置いて、ホークスはそのまま自分の部屋に入って行く。
ゆらはヒーロー試験に受かり、今は予定通りにホークスの事務所で働いている。
その側、公安の仕事もしている。
こっちに来てからのゆらは、ホークスがおかしく思うほど『落ち着いて』いた。
一緒に暮らしてから、縛らせて欲しいと言われた事は一度も無い。
荼毘と出会った頃の1番酷かった衝動も無くても、昔からホークスに会えば縛りたいとよくせがまれていたが、今は全く無い。
今は、大手を振って個性を使えるからだろうか。
確かにそれも抑止力にはなっているはずだが、ゆらの衝動は特定の相手が多い。
それはゆらの精神面にも左右されるが、焦凍なんかは顔が好みなのだろう。
荼毘はきっと、情欲の衝動が強く。
死柄木は支配欲だろう。
ゆらの話を聞きながら、ホークスはそう分析していた。
そして自分に対しては甘えだ。
相変わらずここでは、ずっとホークスの側にピタッと居る。
外に出て、自分の色々な欲に揉まれて疲れた体を休める様に、ゆらはホークスの側を離れない。