第19章 蒼炎と一騎当千※轟焦凍・ホークス
「何て言ったの?ゆら。」
「雄英を辞めて、すぐプロヒーローになる事にした。」
仮免許の再試験が終わって、ゆらはすぐに焦凍に言った。
本当は、おめでとうだけで済ませたかったが、焦凍には噂より先に知らせたかった。
思った通り、いやそれ以上に焦凍は困惑している。
「……………。」
何も言わないまま、顔を俯かせている。
その焦凍の姿に少し目を背けたくなった。
ガシッ!
「?!」
急にガシッと焦凍に両腕を掴まれた。
ゆらはびっくりして、目の前の焦凍を見る。
「……プロヒーローに、なるんだな……。」
焦凍はまだ顔は俯いているけど、確認する様にゆらに聞いた。
「……うん…それが私の『道』だから。」
ゆらがそう言うと、焦凍は大きく息を吐いた。
そしてそのままゆらを抱き締めた。
「……なら……いい…。」
今一緒に居られなくても、同じ道に進むのなら、ゆらと離れる事は無い。
ぎゅうっとゆらを抱き締めて、焦凍は自分に言い聞かせる。
それでも卒業まで一緒にこの場所で居られると思っていたので、その喪失感は大きかった。
大丈夫、大丈夫、俺達は大丈夫だ。
何度も心の中で呟いた。
なのに、抱き締めた腕を離す事が出来ない。
不安で腕が震えた。
このままゆらに会えなくなるのでは無いか。
そんな気持ちが過ったからだ。
「…………。」
沈黙が続く中で、ゆらは焦凍の震えがどんなモノか分かっていた。
腕を上げてゆらは焦凍を抱き締める。
「焦凍、好きだよ。」