第18章 蒼炎の教育②※荼毘
「…ならいい…。」
スッと興味が失せた様に、死柄木はゆらから顔を離した。
死柄木のゆらへの執着は、鎖で縛っている間だけだ。
「……………。」
これもどうかと思うが…。
もういいとは言いながら、しっかりゆらを五指で抱き締める。
しばらくの別れを惜しむかの様に、死柄木は気が済むまでゆらを抱きしめると、その内フッと体を離した。
「……敵として現れたら、その時は殺す。」
そう警告する様に、死柄木はゆらを睨みながら言った。
「残念だけど…。」
死柄木のその言葉を聞いて、ゆらはニッコリと笑った。
「充分あり得る。」
次に会う時は、敵かもしれないし、意外に守ってしまうかもしれない。
死柄木……。
私は『そこに行きたい』
自分のやりたい事は見つかった。
後は自分で道を作ってレールを敷くだけだ。
死柄木がビルから出て行くのを見ながら、ゆらは手の中の薬をぎゅっと握った。
ーさぁ、まずはやれる事をしよう。
ゆらはその足で、公安本部にすぐに向かった。
言われた司令の提出物を出しに行くために。
そしてー。
雄英を辞める為に。
「もう1人で仕事は出来る、これ以上学校に通う必要も無い。
退学してすぐにプロ試験を受けたい。」
ゆらの申し出に、ざわめきも、困惑も無かった。
それはむしろ、本部の方が望んでいた事だから。
「18歳まで事務所は構えられないぞ。」
『それ』に対しての模範解答だってもう分かってる。
ゆらはニッコリ笑って言った。
「ホークス事務所のサイドキックになる。」