第15章 蒼炎の休日※轟焦凍
個性が戻って、久しぶりに雄英に行くと、インターンに行っているA組の何人かが学校でもソワソワしているのに気が付いた。
何かあったのかなと気になったのは、その中心に居たのが綠谷だからだ。
(…公安に聞いてみよう。)
ゆらはスッと綠谷から目を逸らしてA組を素通りした。
「ゆら。」
ゆらの姿を確認してすぐに焦凍が寄ってきた。
パァッとゆらを見つけると出る笑みがまた可愛い。
焦凍に手を掴まれると、そのまま引っ張られる様に廊下を歩いた。
彼と学校内を歩くと周りの視線も集まって、今だにその視線には慣れない。
人通りが少なくなった廊下の隅で、焦凍はぎゅうっとゆらを抱いた。
「………しばらく学校来てなかったし、連絡も取れなかったから心配した…。」
見た感じ怪我もしていない様で、焦凍は安心した様にため息を吐くとゆらを抱き締めた。
「……ん、連絡出来なくてごめん…。」
ちゃんと説明が出来ないから、焦凍の連絡は出れない事の方が多い。
連絡に出ても彼を安心させれる言葉をかける事が出来ないからだ。
ぎゅっとゆらも焦凍を抱き返した。
焦凍の腕の中は何の心配も無く、ただ落ち着く時間だ。
「…… ゆら、約束覚えてる?」
「ん?週末の話?」
ゆらがそう言うと、焦凍は嬉しそうに笑った。
「うん、明日は朝からずっと一緒に居たい…。」
焦凍は朝からゆらの部屋に来て、一緒に外に出てデートをしたいらしい。
「…楽しみだね。」
ゆらはそう言うと焦凍の顔に手を触れて彼の顔を覗き込んだ。
素直に嬉しそうに笑う焦凍にゆらは同じ様に笑った。