第14章 蒼炎遊戯※治崎廻・荼毘
「先にゆらが来いだと。」
トガとトゥワイスより早く治崎から声がかかった様だ。
一気にやる気が失せて、ゆらは死柄木に返事をしない。
「血肉は提供しないでもいいってさ。」
返事をしないゆらに死柄木は言った。
それでもゆらは死柄木を見ようとしない。
どうでもいいよそんな事。
マスクやマント、そもそも全部嫌なのだから。
死柄木がイライラして首を掻いているのが分かる。
ゆらはため息を吐いて重い腰を上げた。
「……ゲート使わせて。」
あまり表立って八斎會の中に入りたく無い。
今日は珍しく黒霧がいた。
死柄木が何か黒霧に頼んでいた様だけど、上手くいっていないみたいだ。
それも死柄木の不機嫌の原因でもあるだろう。
ゆらはマスクとマントを手に取ってそれを身に付ける。
笑いを堪えられなくて、ニヤッとしている死柄木にイラッとした。
絶対いつか仕返しをしよう。
ゆらはそう誓いながらゲートに入っていく。
「…なかなか似合う。」
こっちでもニヤッと笑って治崎に言われた。
心底嬉しく無い。
でも治崎を目の前にすると、表情を隠す為にこのままマスクでもいいかと思えた。
「……血肉が必要無いなら、私は必要ないんじゃない?」
ゆらの言葉に治崎は目を細めた。
「…血肉は必要だが、お前じゃ無くても大丈夫って意味だ。」
それはゆらの他に採取されている人間が居ると言う事だ。
「『小さい』からな、完成の時間を早める為に頻度を上げれば何とかなる。」
小さい?
治崎はワザとゆらが勘付く様に含んだ笑みを見せた。