第13章 蒼炎を夢想する※荼毘
「マジで大人しくしててよね。」
「………………。」
「返事!」
ゆらの言葉に無視する死柄木の後をついて行く。
楽しく無い死柄木との2人きりのお出かけだ。
初っ端から既に帰りたい。
このプライドの塊の様な男が、大して強くもなくよく今まで生き延びてこれたもんだ。
オールフォーワンはよほど過保護に死柄木を育てたようだ。
「帰りたい〜。」
「黙って着いて来い、ソレと向こうではお前は喋るなよ、馬鹿がバレる。」
ブツブツ文句を言うゆらに死柄木は首を掻きながら、イラッと言った。
死柄木とゆらは雑居ビルの間に入った。
そこに鳥の様な仮面を付けた男が居た。
死柄木の待ち合わせ人の様だ。
スッとビルの裏口を開けて中に案内される。
(ここ?)
情報とは違う八斎會本部の家とは違った。
まだ警戒されているのだろうか。
とりあえず、死柄木が素直に従っているのでゆらも黙って着いていく。
黙って着いていく事30分。
いつの間にか地下に入っていて、ずっと同じ所をグルグル歩かされている様だ。
隣の死柄木がイライラしているのが分かる。
ゆらは嫌な予感しかしなくて、足取りが重くなる一方だ。
1つの扉の前で仮面の男がドアを開けた。
どうやらやっと着いた様だ。
部屋の中に入ると、机とソファしか無い様な殺風景の小さな部屋だった。
中に居たのは若頭の治崎と案内人含めて3名。
いざとなったら、何とかなるかな?
無事に逃げてもさっきの迷路の様な道にやられそうだ。
ゆらの頭の中は既に逃げる事しか無かった。