第11章 蒼炎と鎖※荼毘
連合との顔合わせも終わって、ゆらはホテルに戻った。
さて、こちらの定期連絡は。
『雄英高校』にワンコールだ。
勿論、偽物の回線だ。
ゆらはワンコールして、スマホを切る。
二重スパイらしい自分の行動に苦笑した。
ガタッとドアが開くのを、ゆらは横目で見た。
まぁ、来るとは思っていたけど荼毘だった。
「…荼毘…あまり会ってると目立つよ…。」
ゆらの言葉を無視して、荼毘は部屋に入って来た。
「…誰が彼氏だって?」
荼毘はスッとゆらからスマホを取って言った。
「…荼毘…。」
ゆらはすぐに荼毘からスマホを取り返す。
そのゆらの態度が気に入らなかった様だ。
荼毘の目が細くなり、ゆらを見た。
「…荼毘の知らない人だよ…。」
「…大抵の雄英のガキは知ってるぞ?」
荼毘はそう言ってベットに腰掛けた。
彼の目が、こっちに来いと言っている。
今日は連合のメンバーに会って、気が昂っているんだ。
荼毘の目線だけで、胸が高揚していく。
ギシッとベットの軋む音がして、ゆらは荼毘の膝にまたがった。
「……荼毘と同じ目の色をした男の子…。」
荼毘の目を覗き込みながら、轟を思い出す。
ゆらの言葉に荼毘の眉毛がピクッと動いた。
「……もし想像している奴なら…。」
グッと荼毘の手が腰を掴んだ。
「俺はお前を焼き殺せそうだ…。」
荼毘はそう言ってゆらにキスをした。
どういう意味だろうか。
荼毘の言葉が気になった。
特定の誰かだった場合、許さないと言っている様に聞こえた。