第10章 蒼炎の衝動※荼毘
ゆらは公安に呼び出されて、上層部から直接という、珍しい状態で任務を聞いている。
ホークスの顔を見ると、彼はどうやらこの任務に反対の様だ。
当たり前だ、きっとホークスは何度も食ってかかったのだろう。
彼の苛立ちが、それを教えてくれる。
「……出来るか?」
そう聞かれて、ホークスはゆらが二つ返事で飛びつくと思ったのだろう。
眉間に皺を寄せてゆらを見た。
「……無理です…。」
ゆらは断ると、ホークスは驚いた顔をする。
「ヴィラン連合に入って、八斎會探れなんて、死ねって言われている様です。」
そう言い終わった後に、ゆらはギロッとホークスを睨んだ。
誰がゆらと荼毘の事を上に報告したのだろう。
そもそもゆら自身監視されていたのだろうか。
ゆらは拳をギュッと握った。
「それに、連合に入ったら、私から有益な情報を取ろうとします。」
雄英侵入、合宿襲撃。
下手すれば、全部自分のせいにされかねない。
すでに雄英内部に情報屋が居るのは確定だ。
ゆらから漏れる情報なんて、微々たるモノだと踏んでいるのだろう。
ゆらの言葉に安堵しているホークスを見て、ゆらはイラッとする。
ちゃんとこの場を納めろ。
ゆらの目がそう言って睨んでいるのに気が付いて、ホークスは上層部の人達と話し始めた。
それを見て、ゆらは部屋から出て行った。
まぁ、後は上手くホークスが話してくれるだろう。
ゆらはため息を吐いて、窓の外を見た。
少し前なら、飛び付きそうな案件だ。
実際、荼毘を捕まえろと言われたら、絶対に乗っただろう。