第7章 蒼炎と蕭索※ホークス
「…分かった。」
ホークスはゆらの話を聞いて、ムクッと体を起こした。
いきなり起き上がったホークスに、ゆらはびっくりした様な顔で見上げた。
「俺が荼毘とっとと捕まえるわ。」
そう言ったホークスの目が、ギロっとゆらを睨んだ。
全ての元凶がそいつなら、それが1番手っ取り早い。
ゆらはホークスの言葉の意味を理解すると、ギュッと鎖に力を込めた。
「……ダメだよ、ホークス。」
ゆらも起き上がり、ホークスの胸元に手を置いた。
「アレは、私のだから。」
ゆらの目が、ホークスを敵と認識している。
自分のモノを横取りする、悪い敵だ。
そんなゆらの顔を見て、ホークスはふっと笑った。
「…ヒーローだろ?手柄は早いモノ勝ちだ。」
ああ、荼毘。
君は弱いから、すぐに捕まりそうだ。
それならいっそ。
私の手で捕まえてあげよう。
ゆらの心情が分かるホークスは嬉しくてしょうがない。
やっとゆらの本来持っているらしさが出て来た。
欲しいモノはさっさと捕まえろ。
他のやつに奪われる前に。
(ソコに余計な感情は要らない。)
ホークスは目を伏せて、ゆらから目を逸らした。
自分達はヒーローの前に、公安の人間だ。
道理より成功が正しい世界だ。
(大変だなぁ荼毘…。)
次会った時は、君は目の前の女の子の被食者だ。
ホークスは荼毘の安否を考えて、ニヤッと笑った。