第2章 3対3
練習最終日の金曜 放課後
毎日なんだかんだ日向くんと影山くんの練習を見ていた。
ボール拾いのお手伝いなんかもした。
影山くんのボールのスピードは毎日ちょっとずつ早くなっていたが、日向くんはちゃんと返せるようになっていた。
最初の頃と比べて明らかに上手くなっている。
今日も感想を伝えると、日向くんは嬉しさで力が入りボールを明後日の方向に飛ばしてしまう。
ボールは木の上へ・・・
「よそ見してんなボゲェ!」
影山くんにそう言われながら日向くんは木に登り、影山くんは拾った木の棒で下からつつく。
この二人は見てて飽きないなぁとクスっと笑う。
「へー。本当にこんなところで練習してるんだ?」
やっとボールが取れた時、声が聞こえてきた。
「君らが初日から問題起こしたっていう1年?」
「(あれ、この人知ってる。同じクラスの・・・月島くんと山口くん?)」
月島も日向たちに嫌味を言いながらも傍に一ノ瀬がいるのを見付けて驚く。
「なんでキミがいるの?」
同じクラスの見たことある顔。名前は確か・・・一ノ瀬
「おれたちの応援してくれてんだよ!」
ねーって日向が笑いかけ2人でにっこりしてる。それを見てなんとなくイライラする月島。
「アンタは北川第一の影山だろ。そんなエリートがなんで烏野にいんのさ?
”コート上の王様”いいじゃん。かっこいいよね」
影山くんは何も言わない。でもすごく怖い顔をして月島くんを睨みつけた。喧嘩が始まるかもとドキドキしたけど、置いていた荷物を手に取る。
「おい、切り上げるぞ」
日向くんからボールを取り上げて、ポンポン投げながらずっと影山くんに突っかかる月島くん
「逃げんの?”王様”も大したことないね。明日の試合・・・」
「王様王様ってうるせぇ!」
月島くんの背丈ぐらいジャンプして日向くんがボールを取り返した。
「おれもいる!試合でその頭の上打ち抜いてやる!!」
「(いま日向くん・・すごく飛んだ!)」驚いて見入ってしまった。
月島くんたちも日向くんを見て驚く。
「そんなキバんないでさ、明るく楽しくほどほどにやろうよ。
じゃあ、また明日ね。王様のトス見れるの、楽しみにしてるよ」
月島くんたちがそのまま帰ろうとする