第15章 道しるべ
急いで着替えて体育館へ向かう。
「すみません、遅れました!」
まだ人はまばらで全員揃ってはない。間に合った。
「一ノ瀬ちゃん、午後から姿見えなかったけど大丈夫?」
山口くんがそばに来て小声で尋ねた。
「ごめん・・・実は仙台市体育館に行ってて・・・」
「えっ!?」驚いた山口くんが大きな声を出す。
「すまん!遅くなった!」
そこへ3年生たちがやってきた。
「先輩たち・・・まだ部活居てくれますよね?」
日向くんが不安そうな顔で聞く。
先輩たち4人が笑顔になった。
「行くぞ!春高」
「・・・昔 烏野が一度だけ行った舞台だ。もう一度あそこへ行く。」
「「「うおっしゃあああ!!!」」」
部活終わり嶋田マートへ向かう山口
「(一ノ瀬ちゃん青葉城西の試合観に行ってたのか・・・)」
学校サボるタイプには見えないし、もしかして及川さんに会いに行ってたのだろうか・・・?
「どうした忠?今日は集中力無いな」
疲れてんなら今日はもう止めるか?と言われ、一ノ瀬の事を話す。
「あぁ、それな。一人で歩いてるとこ見つけたから俺が送ってやったんだ。学校サボるなんて一ノ瀬ちゃんも度胸あるよな」
「なんで・・・・?」
「お前と一緒だよ」
「えっ?」
「一ノ瀬ちゃんも他の1年達と同じコートに立ちたいって。置いてかれたくないってさ、必死にお前達の背中追いかけてるよ」
ポンポンと頭上でオーバーハンドパスを繰り返す。
「マネージャーだから実際はコートに立つわけじゃないけど。
きっと3年生マネージャーみたいに、ベンチからお前らと一緒に戦いたいんだろうな」
「一ノ瀬ちゃんが・・・」
「忠と一緒で、彼女もいつその瞬間が来てもいいようにこれから必死で頑張るつもりだ」
ボールを山口にパスする。
両手に収まるボールをギュッと力を込めて掴んだ。
「一ノ瀬ちゃんが頑張ってるなら俺も負けてられないです。
嶋田さん!練習の続きお願いします!」
気合の入った表情を見て、嶋田が優しく笑った。