第14章 決意
「(午後の授業サボっちゃった・・・。お財布とスマホだけは持ってきてるけど)」
初めて学校をサボってしまった。念のため友達だけには試合観に行ってくる、と連絡してある。
あとで、心配かけてごめんって謝らないと。
「(今から向かえば着くのは試合終盤。少しでも見れる!)」
小走りでバス停に向かうが・・・”試合観に行く”と意気込んでいたけど、学校から遠ざかるにつれて気持ちは現実に戻されていった。
「(大丈夫かなぁ・・・)」
プップー!
後ろから車のクラクションが鳴る。
「ヒイイィィ!」
ビックリして変な声が出た。ゆっくり振り返ると
「いま学校にいる時間だろ?こんなところで何してんだ?」
運転席から嶋田さんが顔を出した。
「一ノ瀬ちゃんも意外とやるなぁ!いいぞ!俺が乗せて行ってやるよ」
事情を説明するとニッ!と笑って車に乗せてくれた。
「試合観に行きたいってのは分かったけど、なんで急にそう思ったんだ?」
「昨日山口くんも試合に出て・・・。1年生はみんな凄いです。
ものすごい速さで前を走っていて、私だけ追いつけない。
私置いてかれたくないです!あっちに行って一緒に戦いたい!」
自分でもビックリするくらい大きな声が出た。
嶋田さんは静かに話しを聞いている。
「でも今の私は足りないものだらけです。だから少しでも自分にできる事をと思って・・・」
話してて自分が言ってる事ぐちゃぐちゃなのが分かる。まとまってない。
マネージャーがこんな事思うなんて変?
何言ってるんだって怒られるかな?
「それで仙台市体育館で試合観て勉強か」
後ろに積んである野菜の箱が砂利道でガタンと音を立てる。
「そっか。じゃあ、あいつらと同じ場所に立てるようこれから沢山頑張んなきゃな」
「は、はい!!」
嶋田さんの言葉を聞いてホッとした。
「まさか自分がこういうことするタイプなんだ~って今ドキドキしてます。学校サボるとかいつもだったら頭に浮かばないと思うし」
「いつもの自分が変わるくらいの衝撃が昨日の試合にはあったって事だろ?」
「・・・そうですね」
「(忠もそうだったしな)」
「とりあえず今日の事、烏養達には内緒にしとくな。帰りも学校まで送るから終わったらちゃんと連絡しろよ?」と念を押される。
とてもありがたいお言葉、嶋田さんに頭が上がらなくなった