第12章 烏野vs青葉城西 ①
会場内は昨日とはまた違った雰囲気に包まれていた。
烏野側の応援は嶋田さん、滝ノ上さん、私の三人だが・・・
「おいかわくん!」「及川せんぱい!」
「「「がんばってーー!」」」
大王様を呼ぶ声が至る所から聞こえてくる。今日は女の子が多い。
これみんな大王様の応援?
「向こうのセッターに負けてられないな。よし!一ノ瀬ちゃん!俺らもアピールしようぜ!」
嶋田さんが勢いよくこちらを見る
「えっ??」
「”菅原!影山!頑張って!!”でいこう。烏野にだって凄いセッターがいるんだって女子の声でアピールだ」
「”烏野頑張って”じゃだめなんですか?」
「ここには及川以外にもセッターいるってことを分からせるのが大事なんだ!小さい事かもしれないけど、これも勝利に繋がるかもしれない!」
まぁ・・少しぐらいは効果あるかもな?と隣で滝ノ上さんが笑った。
「(これが勝利に繋がる・・・よしっ!)」
思い切り息を吸い込む。ありったけの気持ちを込めて
「菅原先輩!影山くん!がんばってー!」
突然名前を呼ばれて二人が驚く。
「影山!なんでお前が名指しで応援されてるんですかコラ!」
「お前、みなになんかしたのか??」
田中と西谷に詰め寄られる影山
「(全然心当たらない・・・ハッ!)この前キャプテンに肉まんおごって貰ったとき、先に選ばせてあげました」
「「それかーー!」」
「一ノ瀬!俺たちもいるぞ!声を届けてくれー!」
「名前呼ばれて応援されるってなんか照れくさいけど・・・嬉しいもんだな」
「一ノ瀬の声ってよく通るよな~。俺もこないだの試合で聞こえたし」
「飛雄が応援されてるってなんかムカつく!」
「今日は大人しく応援してるみたいだな」
両チームが一瞬ざわつく。作戦が成功したのかここからではよく分からなかった。
2階からはコート全体がよく見える。
「(大王様、みんなに声かけてるなぁ)」
岩泉さんや他のメンバーとも和やかな雰囲気で話していて、なんだか全体的にいい空気が流れてる気がする。
ジーッと青葉城西のコートを眺めていると
「今日は大人しいな。最後までそのまま落ち着いて見ろよ?」
2階席を見上げて岩泉さんが声をかけてくれた。
「は、はい!」
大きな声で返事をすると満足そうに笑っていた。
この前は恥ずかしい姿を見せてしまったから・・・今日はちゃんとしよう
