
第11章 烏野vs伊達工業

武田先生の運転するバスが烏野高校に到着した。
「”烏野の10番すごいぞ!やばいぞ!”って声、会場で何回も聞いたよ!日向くん有名人だね!」
”よっ!最強の囮”と田中先輩に褒められる。
「えへへ・・」
ニヤニヤが止まらない日向くん。試合が終わってからずっとほほが緩んでる。
「何度もお前にひっかかってたぞ」
影山くんも凄く嬉しそう
「皆さんお帰りなさい!バレー部がテレビに映ってますよーっ」
みんなでテレビにかじりつく
取り上げられたのは白鳥沢と青葉城西。大王様が明日の烏野戦に向けてインタビューを受けている
「がんばって欲しいですね!さて次の・・・」画面が切り替わった。
「「「・・・・」」」
烏野の映像は1秒も出てこないまま次のニュース
「さっきはね、一瞬試合風景も映ってたんだよ・・・」
ミーティングが終わり解散。
今日の勝利を噛みしめたいが・・明日はいよいよ大王様たちと戦うことになるんだ。
「変な顔」
「今日勝ったの嬉しい!でも明日のこと考えると緊張するって思ったら複雑で・・」
私の表情を見てプッって笑う。
山口くんは嶋田さんのところに寄ってくからと別れたので、今日は珍しく月島くんと二人きりだ。
「今日の試合みんなすごかったな~」
「日向かなり目立ってたしね」
「うんうん!”10番すげー!”っていっぱい言われてた。旭先輩も鉄壁相手にすごかったし!」
試合を思い出してニヤニヤしてくる。
「月島くんも!伊達工業さん相手でも負けてなかった」
「えっ」
「攻撃は日向くんや影山くんが目立ってたけど、月島くんが前衛の時は向こうの攻撃凌いでくれてたでしょ」
ぴょんとジャンプして試合中の月島くんの真似をする。
嶋田さんたち、女子バレー部の道宮さんたちが教えてくれた。
”あーいうプレーが勝ちに繋がってるんだ”って。つい目立つプレーに目がいってしまうけど、バレーはそれだけじゃ勝てない。
「・・・日向が後ろに下がってる間は極力無難に凌ぐのが僕の役割だし」
「月島くんのプレーが今日の勝ちに繋がったんだね!」
「・・・」
目の前の月島くんは何とも言えない表情をしている。
「?・・・・変な顔」
ニッ!て笑ってさっき言われた言葉をお返しをする。何も返せない月島くん珍しいな。
「一ノ瀬のほうが最初からずっと変な顔してるから!」
ジロリと睨まれたけど、初めて出会った時みたいな怖さはもうない
