
第11章 烏野vs伊達工業
大王様たちと入れ替わりで町内会の嶋田さんが会場にやってきた。
今回はこの場所に一人じゃないということに少し安心する。
伊達工業さんの応援は凄い・・・
コートの空気が一気に伊達工色に染まっていく。
「(みんなは大丈夫かな?)」
1階に視線を動かすと
「ローリングッサンダアァァッアゲインッ」
西谷先輩のキレッキレなレシーブ
「よっしゃあ!!心配することなんか何も無え!!
皆 前だけ見てけよォ!!背中は俺が護ってやるぜ」
力強い声が響き渡った
「(かっこよすぎます!)」
心をグッと掴まれる。
先輩の言葉で弱気になっていた気持ちが一気に吹き飛んだ。
「なんつう頼もしさ!皆の空気が一気に変わったぞ」
「西谷先輩は烏野の守護神ですから!」
嶋田さんに西谷先輩を褒められて、まるで自分の事のように嬉しくなる。
「遅くなってすまん。1回戦勝ったんだな!間に合ってよかった・・・」
滝ノ上さんも応援に駆けつけてくれた。
「良かった。男子の2回戦まだやってる!」
「すごい!伊達工に勝ってる・・・!」
女子バレー部も会場に駆けつける
「(あれ?セッターは菅原じゃない。出てないのか)」
道宮がコートを確認した。
「西谷先輩ナイスレシーブ!」
観客席から聞こえてきた声のするほうに目を向ける。
「(あの子・・・こないだ澤村と一緒にいた1年生?)」
ベンチには清水が入っていた。
「(そっか。ベンチは3年マネージャーか)」
伊達工業の応援でかき消されてしまっていたが、何度も大きな声でコートの選手たちに声をかけている。
「あの子1年生マネージャー?頑張ってるね」
澤村たちが大事にしている理由が分かった気がした。
自分たちと同じ熱量で一緒に前へ進んでくれる存在。
「(この子はこの場所で、下にいるみんなと一緒に戦ってるんだ。
こういうのいいなぁ・・・なんか澤村たちが羨ましい)」
急いで一ノ瀬の後ろに座る。
「私たちも一緒に応援するから!頑張ろう!」
急に声をかけたからビックリしてたけど「ありがとうございます!」と嬉しそうに返事をした。
「さっき10番の小さい子すごい跳ばなかった・・・?」
「セッターの子のトスもすごいよ」
「11番の子も!1年生でしょ?伊達工相手にすごいよ」
「2セット目ローテが変わったから伊達工の7番とマッチアップ増えてしんどいはずなのに、東峰としっかり凌いでる」
