
第75章 春高2回戦 vs稲荷崎高校①【圧巻】

「気持ちをリセットしたら照準を合わせる!」
「おぉ!」
山口くんの春高での目覚ましい活躍
それに他の1年生たちも実力出せてる!
みんなのこれまでの努力の成果をこの大舞台で発揮出来てるのすごい。
「(いいぞいいぞ!)」
「おーいっ!」
日向くんの声で振り向くとこっち来てって手招きしてる。
横に影山くんと月島くんも立っていた。
「!・・一ノ瀬ちゃん行こう!」
「えっ?あ、うん!」
近くに行けば、5人で円陣を組む
「今日は一ノ瀬のポジション変わるから先にミーティング!」
「?」
日向くんが右手を出すと影山くんたちがそれに続いた。
とにかくみんなの真似して私も右手を出す
「今日はあっちだから、おれたちの背中任せる!シンドイ時間もあるけど気を引き締めてね!」
「一ノ瀬の守備範囲広すぎだろ?お前スパルタだな」
「サボったらすぐばれるし、声出し頑張ってよ?」
「一ノ瀬ちゃんが背中守ってくれるなら心強いね!」
「(あっ・・・)」
今日はコート後ろのスコアボード横から試合を観戦する。
「(私もコートに立つ選手の一人として見てくれてるんだ)」
ギュッと手に力が入った
「はい!後ろは任せて!」
「相手は強敵だけど・・・勝つ!」
「「「・・・」」」
日向くんがそう言った後、沈黙が流れた
「??」
「・・いまのが締め?弱くない?」
「こっからどうすんだ?」
「日向・・・?」
「普通、いまので”オォー!”だろ?お前ら合わせろよ!」
グダグダなやりとりがなんだか心地よくてリラックスしてくる
「な、なんだよー!じゃあ、山口!この後は任せた!」
「ちょ、ちょっと日向!急に投げ出さないでよ!?じゃあ・・・」
山口くんがみんなの顔を見渡す
「気合い入れて行くぞ!」
「「「オォーッ!」」」
2回戦の対戦相手、稲荷崎高校は昨年の春高で3位、そして今大会の優勝候補の1つ!
向こうの応援席にはたくさんの人がいる
それに吹奏楽部もいて・・・大応援団で会場の圧が一気に強くなる。
「(・・上から音が降ってくる。ビリビリと音に合わせて空気が揺れてるような)」
心臓がギュってなって、鳴り響く音が見えない鎖みたいに体を縛り付ける
なんだか体がずっしり重たくなった。
「(人の声と楽器の音が重なると、これほどまでに威圧感を放つんだ)」
試合始まる前から相手が強敵なんだと思わされた気がした
