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約束の景色

第75章 春高2回戦  vs稲荷崎高校①【圧巻】


Bコート第2試合 稲荷崎高校vs烏野高校

「北さん!おにぎりの子います」
「ん?」
宮治の声で振り返れば、ネット際に駆け寄る一ノ瀬の姿が見えた。
北も歩いて行く。
「おはようございます!今日はよろしくお願いします!」
一ノ瀬と北が互いにお辞儀をした。
「・・・今日はちゃんと朝ごはん食べてきたん?」
「はい、ちゃんと食べてきました!」
コクコクとうなずく。
「準備万端やな」
北が表情を和らげる。つられて一ノ瀬も笑う。

その光景を宮兄弟が見ていた
「ホラ!見てみ、あの北さんを。この前言った通りやろ?」
「ほんまや・・・でも親戚の兄ちゃんと姪っ子って感じの空気出してへん?」
後ろにいる治にも気づいてお辞儀をする一ノ瀬
ちっちゃく頭を下げる治。
「サムなんや!嬉しそぉ~に。まさかお前・・・!?」
侑がニヤリと笑う
「そんなんとちゃう!」
「あの子は今日から”おにぎりちゃん”やな」
「ハアァ!?」
「サムの大好きなものやもん」
「・・・なんやねんそのセンス」
急に侑が真面目な顔で治を見た。
「待て、今の俺に挨拶したんかも・・・」
「それは絶対ちゃうわ」
「わからんやろ!?」
「わかるやろ!!」

北の挨拶が終わった後、治もこっそりネット際に向かった。
一ノ瀬の足元を見ればオレンジの靴紐が目立っている
「それ、カッコええなぁ」
「ありがとうございます!」
「その色好きなん?」
「烏野カラーなんです!あと・・・お揃いなんです」
一ノ瀬が照れたように笑う。
あまりに嬉しそうに笑うので治がビックリした。
「(お揃いって・・・まさか男ちゃうよな・・?)」
喉まで出かかった言葉を急いで飲み込む
「(なに言おうとしてるんや。俺は)」
「潔子先輩とお揃いで買ったんです!」
そう言って先輩マネージャーらしき子に視線を動かした。
「私の憧れの人なんです」
「そか・・・そういうん、ええな」
ホッとしている自分に気付いて苦笑いした。


「山口くんサーブの調子いいね!何かコツ掴んだの?」
「実はさ、心を落ち着かせる為に”リセットの視点”入れるようにしたんだ!」
「リセットの視点?」
「目印作るんだ。視線を落ち着かせる場所。今回でいえば・・・ほら、あそこの非常口」
コートの反対側の通路にある非常口のマークを指さした。
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