第6章 GW合宿 迷いネコ
練習試合前日の夜
音駒にはマネージャーがいないので、
『少しでも選手たちが練習試合に集中できるよう協力する』
と先生同士の話し合いにより、今回は一ノ瀬がサポートとして相手校側のマネージャーに入ることが決まった、と先生たちから言われた。
烏野でもちゃんとマネージャーの仕事が出来ているわけじゃないのに明日どうしよう。東京の人たちに「こんなのも出来ないんですか」って呆れられたら?明日の事を考えると不安でいっぱいになる。
「じっとしてると落ち着かないから空気変えよう!」食堂で勉強することにした。
「あれ?」飲み物を買いに来た澤村が食堂の明かりがついているのに気付いて顔を出す。
「一ノ瀬?まだ起きてるのか」
「明日の事考えたら緊張しちゃって。何かしてないと落ち着かないです・・」と苦笑い
隣に澤村が座った。
「勉強?」
「はい、ポジションの・・・
日向くんと月島くんはMBで、澤村先輩、旭先輩、田中先輩はWS。菅原先輩と影山くんはS。Sはチームの司令塔で、周りの状況も見つつ仲間のコンディションとかも考慮して攻撃を組み立てる・・・すごく大変なポジションなんですね。
でも烏野はSが二人います。片方がしんどくなった時に、もう一人頼れる司令塔がいるって安心感違いますよね!」
メモしながら一ノ瀬が言う
「影山くんのトスでは日向くんが、菅原先輩のトスでは旭先輩が嬉しそうに打ちます!仲間にそんな顔させるセッターが二人もいるなんて烏野は凄いですね!」
「(コートに立てなくてもこうやって見てくれる存在がいるっていいな・・自分の活躍見せたいって気合入るし。”お前の事見てる後輩がここにいるぞ!”ってスガに聞かせてやりたかったな)」
「ほら、もう寝るぞ!」一ノ瀬の肩を叩く
「キリがいいとこまでやったらすぐ寝ます」
「じゃあ先戻るな。明日は何かあったらそっち行くからあんまり緊張するなよ?」
「はい!」
先に食堂を出て部屋に戻ろうとすると、廊下に菅原が立っていた。
「ごめん・・・二人の姿見えて話しかけようとしたらタイミング逃しちゃって。立ち聞きするつもりはなかったんだけど」
照れくさそうに笑う
「気合入れんぞ!」
「おう!」
「(自分を見てくれてる事、活躍期待してくれている事、そういう存在が今のスガには何よりも嬉しいと思う。一ノ瀬ありがとうな)」